『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『ウォンテッド』を観た]

2008-09-15 17:55:31 | 物語の感想
☆予告編を見る限り、『マトリックス』シリーズと『ジャンパー』を混ぜたような印象を感じていた。

私にとってはどちらもパッとしない作品なので、あまり期待せずに観に行った。

・・・うん、しかし、面白かった^^

   ◇   ◇

つまらない人生を送っていたヘタレ男が、とある出会いや覚醒を切っ掛けにヒーローへ変貌していく。

最近では、先ほど名前を出した『ジャンパー』も、『トランスフォーマー』『ラスベガスをぶっつぶせ』『ドラゴン・キングダム』なんかも同じパターンだろう。

日本のスポ根マンガのほとんどが、このパターンだ。

不滅のテーマであるが、私は少々辟易していた。

しかし、この作品は、その描き方がちょっと違っていた。

やや、アダルトテイストなのである。

主人公がサラリーマンと言うこともあるのだろうが、嫌な上司、尻軽彼女、精神安定剤、貯金なしと、やや荒んでいる。

・・・それらが、テンポ良く、洋楽に彩られて語られるのだ。

そして、とある暗殺組織と関わり合う。

それからはノンストップだ。

スタイリッシュな映像が、『マトリックス』のような下世話な「これ見よがし」ではなく、自然に描かれる。

スローモーションや画面静止も嫌味がない。

必然性が感じられた。

・・・そして、物語は帰結する。

最終的に、主人公ウェズリー(ジェームス・マカヴォイ)は、「君は今、何をしている?」とこちら(鑑賞客)に語りかけてくる。

それで、私は、この物語が、この監督(作り手)が、こちらへのメッセージとして作品を作っていたと知るのだ。

思えば、冒頭のへタレ人生に、私などは自分を照らし合わせて心をチクチクさせていた。

ウェズリーが暗殺組織と行動をともにし始めても、彼は簡単に楽な状況にはならない。

痛い描写が続き、私は身につまされて、「痛そう~、やりたくね~^^;」などと呟くのだ。

・・・うん、この作品は、裏のテーマとして「サラリーマン」の転職を描いているのだよ。

そして、最終的に、自分の理想を達成するためには、自分一人で戦わなくてはならないことを示して終わる。

   ◇   ◇

堅実な作りで、私は、この作品を安心して見たのだが、一つだけ破壊的な破綻がある。

それは、とある殺し屋を殺すために、山岳鉄道の数百人の乗客を巻き添えにしていることだ。

アクションとしては、大スペクタクルシーンである。

しかし、物語的にとてつもない「解せなさ」感が貼りついてくる。

私は、その後の物語を楽しむために、その「解せなさ」を、とりあえず心から引き離したが、致命的なシナリオミスだと思う。

何の逡巡もなく、その後の物語が続くのも変だ。

この作品のキーワードに「1を倒して、1000を救う」があるが、これでは本末転倒だ^^;

クライマックスで、正義に殉じるフォックス(アンジェリーナ・ジョリー)も、この大殺戮の後で、「うまくいったわ」などと呟くのである。

なんのこっちゃ^^;

   ◇   ◇

<フラタニティ>と言う暗殺組織のあり方は非常に面白かった。

これは、『ジャンパー』の組織<パラディン>などより、よっぽど歴史を感じさせてくれるのだった。

でも、モーガン・フリーマンは、映画に出過ぎのような気がする^^;

                          (2008/09/15)
コメント (2)
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