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「愛執」坂本冬美

2017年03月30日 | 今日が誕生日の歌手
坂本冬美

運命は 繭の糸なんですね
日々をかさねて 愛や哀にも つよくなる
あがらえず 拒めずに
あなた 彼(か)の地に 往かせたあとは
耐えて忍んで 女の胸に
やむことのない 虚ろ風
執炎2
(えにし)は 時の綾なのでしょうか
神が仏が 慈悲をくださり ひき合わす
とめどなく ほとばしる 
命ふたつを 焦がして灼いて
見えぬあしたを 封印すれば
死の渕さえも こわくない
浅
永訣(わかれ)は 針の闇なんですね 
なぜにあなたは 二度と還らぬ 波の涯て
さ迷うて 凍てついて 
生きるささえを 失くした今は
艶も香(か)もない 黒髪切って
水底(みなそこ)ふかく 身を浸す


ひとこと:坂本冬美サンは今日が誕生日。1987年の
デビュー以来30年目。相変わらず歌唱には艶がある。
いい作品に恵まれているが今の演歌状況にたがわず
爆発的とまではいかないのが残念。このブログでは
「雨が降るように泣かないで」 「おんな雪月花」
「とんがり ~林家彦六 伝」「男の潮暦」
の4篇を
書き下ろしてきた。実力、歌唱力のある歌手だけに
生半可なものは書けないだけに愛着のある書き下ろ詞
ばかり。さて今回は…ある日なにげなく本棚に目を
やると、古く懐かしい本が目にとまった。それはのち
に2種の映画化になった作品。今の時代を大きく
かけ離れた内容だが根本のテーマは今でも通用しそう
な愛の物語。しかしその結末は哀しく憐れ。それを
今の時代にそぐわせて詞を書くことは実験的で意気に
感じるというものだ。ましてや想定したのが坂本冬美
となればなおさら。運命に二転三転翻弄されあげくに
ともに命を果てるというとてつもない世の無常、非情。
               (画像をお借りしました)

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