運命は 繭の糸なんですね
日々をかさねて 愛や哀にも つよくなる
あがらえず 拒めずに
あなた 彼(か)の地に 往かせたあとは
耐えて忍んで 女の胸に
やむことのない 虚ろ風
縁(えにし)は 時の綾なのでしょうか
神が仏が 慈悲をくださり ひき合わす
とめどなく ほとばしる
命ふたつを 焦がして灼いて
見えぬあしたを 封印すれば
死の渕さえも こわくない
永訣(わかれ)は 針の闇なんですね
なぜにあなたは 二度と還らぬ 波の涯て
さ迷うて 凍てついて
生きるささえを 失くした今は
艶も香(か)もない 黒髪切って
水底(みなそこ)ふかく 身を浸す
ひとこと:坂本冬美サンは今日が誕生日。1987年の
デビュー以来30年目。相変わらず歌唱には艶がある。
いい作品に恵まれているが今の演歌状況にたがわず
爆発的とまではいかないのが残念。このブログでは
「雨が降るように泣かないで」 「おんな雪月花」
「とんがり ~林家彦六 伝」「男の潮暦」の4篇を
書き下ろしてきた。実力、歌唱力のある歌手だけに
生半可なものは書けないだけに愛着のある書き下ろ詞
ばかり。さて今回は…ある日なにげなく本棚に目を
やると、古く懐かしい本が目にとまった。それはのち
に2種の映画化になった作品。今の時代を大きく
かけ離れた内容だが根本のテーマは今でも通用しそう
な愛の物語。しかしその結末は哀しく憐れ。それを
今の時代にそぐわせて詞を書くことは実験的で意気に
感じるというものだ。ましてや想定したのが坂本冬美
となればなおさら。運命に二転三転翻弄されあげくに
ともに命を果てるというとてつもない世の無常、非情。
(画像をお借りしました)