歳をとったな お前も俺も
無理のきかない 躰になった
つれ添い歩いて しろたえの
袖に涙の しずくが沁みて
咲くは夫婦(めおと)の 白妙の花
一重結びの 半幅帯が
なぜに二重(ふたえ)に 三重にも余る
阿吽(あうん)の仲でも しろたえの
袖にひそめた 幾年月の
積もる夫婦の 去し方ばなし
先に逝くなよ 逝ったら俺は
右も左も お手上げ暮らし
時折りそよいだ しろたえの
袖に孕んだ 追い風 夜風
越えて夫婦も 楽あり苦あり
ひとこと:10/10~10/12に日本歌手協会・創立50周年記念、歌謡フェスティバルが
催される記事を見た。新旧、現役を含め多数の歌手のなかには懐かしい歌手や
もう何年も新曲を発売していない歌手がいっぱい。それでも現役は現役!
昨日今日の歌手とはキャリアと貫禄が違う!
そんななかから何人かをセレクトして持ち味を生かした、
なおかつ新鮮な詞を書き下ろしていきます。
さて、どんな歌手が登場するやらお楽しみに!
このシリーズも今回で15人目。まだまだ書きたい出演歌手はいるので続きますよぉ~。
1967年に殿さまキングスのメンバーとして活動開始して以来、
宮路オサムさんも66歳。ソロになって作曲などもし、
新曲は久しく聞かないが、今回は熟年世代の身丈に合った詞を書こうと思い
普段、愛読している「新古今和歌集」などをめくってみた。
白妙の~は袖にかかる枕詞。それをヒントに夫婦ものでもと、ひとひねりした詞を書いた。
総じて男は不器用なるもの。
長年連れ添う女房がいなくなればお手上げ、というのがオチ。
せいぜい歌で感謝を伝えるしかないのだ。