最近、景気は好調と言われているが、豊かさを実感できない状況が続いている。
日本は1968年に世界で第2の経済大国となった。だが、日本各地で公害を引き起こし、勤労者の大半も週休1日で働きづめだった。環境破壊するまで工場をフル稼働したり、家庭や健康を犠牲にして長時間働き続けたりすれば、その分GDPは増加する。
国が経済成長して、1人当たりの所得が増えても、個人の「幸せ感」が増すとは限らない。これは「幸福のバラドックス」 とも言われる。
GDPでは生活の質を測れない。
OECDが2011年から「より良い暮らし指標」を国ごと発表している。これは、健康状態や住宅事情、労働環境といった、生活の質に関する項目が多数含まれている。日本は治安や教育水準の価がとても高い一方で、休暇の取り方や社会的交の面では評価が低い。
国連も「世界幸福度報告」を2012年から発表している。同報告によれば、日本の幸福度は世界47位である。
経済成長は、格差を広げたり、自然環境や伝統文化を自破壊する。
しかしながら、経済成長を求めることをやめてはいけない。経済成長は人々の生活改善に大きく貢献する。 例えば、乳幼児死亡率と、その国のGDPの間には、明確な相関がある。
経済成長がなければ、富の分配は出来ず、何をするにも財源の奪い合いになり、社会の分断が進む。
不景気が続いた国内では、平均給与は伸びず、非正規雇用が広がった。
25~34歳男性でみると、30年前は非正規雇用比率は約3%だったが、現在は14%を超える。さらに、高齢化が急速に進み、年金や高齢者医療の負担が現役世代にのしかかっている。
経済低迷が続き、若者が明るい将来を思い描くことは困難になった。その帰結が、結婚観の変化、出生数減であろう。
日本の家計の金融資産は豊富で、その合計は2000兆円にもなるとされる。 ただ、20代が保有するのはその1%で約半分は高齢者層の蓄財である。その高齢者層に毎年55兆円以上の年金を支給している。このような状況では、少子化は止まらず、社会保障制度はいずれ行き詰まっていく。
経済成長は国の維持にとって大事である。
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