銅版画制作の日々

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TAXIDERMIA ある剥製師の遺言

2008-06-07 | 映画:ミニシアター

 

なぜ、人は夢をみるのだろう?

なぜ、人は食べ続けるのだろう?

なぜ、人は永遠の命を求めるだろう?

 

人間の欲望は、この世でもっともおそろしい。

 

昨日が上映最終日ということで、慌てて鑑賞してきました。場所は京都みなみ会館です。パンフレット購入しようと思ったら、前の人で完売普段は結構空いているシアターですが、今日は結構多いので、びっくり知り合いの人から「面白いよ」と聞いていたので、内容も確認せず鑑賞。冒頭からいきなり凄いシーンがあり、“ちょっとやばいぞ”かなりきわどい描写もあって、思わず目を逸らしたくなる場面もあります。過剰な挑発的映画だと言われるのも納得出来ます。

 

STORY

祖父子の三世代にわたって繰り広げられる、摩訶不思議な物語?う~んその表現が適切なのかどうか分かりませんが。

物語は3つに分けられ、進んで行きます。

まずは、祖父のお話から・・・・。一家の祖父であるヴェンデル・モロジュコバーニは、第二次大戦時ただの当番兵だった。彼は中尉とブタのように太った妻、そして二人の美しい娘と一緒に人里離れた寒村に配置されていた。中尉に罵倒され、こき使われ、毎日な日々を送るヴェンデル。彼の唯一の楽しみは、妄想の世界に溺れること(これがかなりやばい)かなりリアルな描写で・・・・。中尉の言葉も結構、放送禁止用語をバンバン言いまくりヴェンデルの刺激をそそるんですね。二人の美しい娘の入浴をこそっと盗み見もしちゃうヴェンデルは益々ヒートアップ状態とにかく彼の性欲の願望は膨らんでいくわけです。その結果、どえらいことに・・・・・。

 

そして大きな失態で生まれたのが父、カールマーンってわけ。時は、共産主義時代のハンガリー。カールマーンはハンガリーを代表する大食い競争の選手何とこの競技はオリンピック委員会で公認を期待されているハンガリーの人気競技だとか。子どもの頃からトレーニングを積み、自分の限界を感じながらも、国家のために勝利を目指すそして大食いチャンプのギゼラと出会い結婚長いハネムーンの後、また二人はそれぞれトレーニングを開始して、競技に臨む。この競技のシーンがなんともいえない。観ているだけで、おぇっ~となりそう・・・。

 

写真 食べる食べるそして終わったら。

今度は吐く吐く~~~まるで滝のように・・・・・。(観ているだけでおぇ~ )

 

そのシーンが繰り返し出てくるもので、ちょっと気分が悪くなります

ギゼラとカールマーンの間に可愛い赤ちゃん誕生ところが、大きな夫婦に生まれた子どもはあまりにも小さな赤ん坊だったのだ。

 

さて月日は流れて・・・・・。カールマーンの息子は大きくなったけど、彼のようにでかくはなく、スレンダーな青年に成長。名前はラヨッシュ。剥製師の仕事をしていた。昔の栄光を引きずりながら父カールマーンも生きていた。そんな父に愛想をつかした母ギゼラは家を出てしまい・・・。父は極度な肥満となり、身動きが取れない状態に陥っていた。そんな父の世話をラヨッシュがしなければならなかった。献身的に父を世話しても、ラヨッシュに愛情を注ぐことはない。気になるスーパーのレジ係りの女性にも振られ誰にも愛されず祖父がそうであったように、ラヨッシュも欲求不満を抱えることに。しかし彼の豊かな想像力はまったく違う方向へと進むことに。彼はアートとしての剥製師を目指し、作品作りに没頭する。やがてそのことは意外な展開を見せる。

 

写真 カールマーンは異常な肥満状態となっていた

 

 バスタブが回転します 。何度も・・・・。そのバスタブにはブタの死骸が入っていたり、時には生まれたばかりの赤ちゃんが入っていることも。まるで舞台装置のからくりのような仕掛けです。面白い祖父ヴェンデルの妄想には、マッチ売りの少女が登場したり、立体絵本が登場したり、その映像はちょっとファンタジー的、でもその中には彼の異常なまでの性欲の細かな描写が絡み、なんともいえないグロさを感じます。理性はかき消され、人間の本能が全面に描かれています。

 

写真

孫ラヨッシュもヴェンデル同様、愛に飢えていたが。彼は性欲に走ることはなかった。むしろ外界との接触を断ち切り、自己の世界にどんどんはまっていくのだ。それは剥製師という仕事への陶酔となる。そしてついに彼がその先にある死という道にたどり着くことに。その先はネタばれとなるので書きませんが、壮絶なかたちで命を絶ちます。

写真「戦争の中で人は生命力にあふれ、平和な現代では死んだように生きている。そうした皮肉な対照を通じ、家族の歴史を描こうと思った」と、パールフィ・ジョルジ監督。

 

 全編しゃっくりばかりが続く怪作「ハックル」(02年)に続く2作目の長編となる。タイトルは「剥製術」の意。説明を廃した寓(ぐう)意に富む語り口で、画面に性器とゲロと内臓が躍る。 (asahi com)

 

テリー・ギリアムのブラックファンタジーを越える凄い作品ではないでしょうか?ここまでのグロさは、かってなかったように思います。とにかく最初から最後まで目を見張る映像世界です。ただ血や内臓が苦手な方には、お薦めできる作品ではありませんが。

 

性は誕生、食は成長、睡眠は死を意味するように、3世代かかってやっと人間らしい人生を送ることができた彼らのDNAがこの映画の本当の主役だった。 (こんな批評が書いてありましたので、ちょっと抜粋しました)

 

TAXIDERMIA 公式サイト

 

 

 

Comments (3)    この記事についてブログを書く
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3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
グロ美しいー (かえる)
2008-06-08 09:18:14
mezzotintさん、こんにちは。
いやー、すごい映画でしたよねぇ。
実は私、血や内臓は結構苦手なんですけど、それでもこのグロテスクさには心掴まれてしまいました。
回転するバスタブ映像だとか印象深いアートな映像がいっぱいでした。
このマニアックな映画が日本で配給されたことに感謝せずにはいられませんー♪
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Unknown (mig)
2008-06-08 10:21:13
こんにちは~
コメントTBありがとうございました♪
もっと剥製師の作業シーンみたかったんでだけど
(悪趣味?)
意外とそういう話ではなかったんですねー
前半より、息子のエピソードが良かったです
ラストもびっくり展開で
返信する
 (とらねこ)
2008-06-11 08:37:37
おはようございます!mezzotintさん
何より、このアートセンスがすごくて、とにかく目を奪われました。
素晴らしかったのは、色使いですよね

まさに「めくるめく変態ワールド」というか、
「変態のディズニーランド」っていうんでしょうか
何かのメーターを振り切って生きる人達って、荘厳とすら言えますよね
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