銅版画制作の日々

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いのちの戦場▼アルジェリア1959

2009-04-08 | 映画:ミニシアター

 原題:L'ENNEMI INTIME


この歴史的悲劇を世界が知らないのはなぜか
仏政府がそれが〈戦争〉だったと公式に認めたのがようやく1999年であったのはなぜか

戦争を知らない世代だからこそ描けた
50年前の知られざる壮絶なゲリラ戦の真実

4月3日京都シネマにて鑑賞。

アメリカがベトナムへ侵攻したことで、戦争になったことは多くの人が知っている。でもフランスが北アフリカのアルジェリアという国を支配したことで、起こった戦争は多分知らない人は多いはず。そういう私もまったく知りませんでした。

映画を通じて世界の色々な国で何があったか?歴史を紐解くことが最近多いですね。ネットやメディアなどの媒体ももちろんのことだが、やはり映画の影響力って一番大きいような気がします。

ブノワ・マジメル、35歳のフランスの若手俳優。なかなかカッコいい方ですよね。彼の作品は「裏切りの闇で眠れ」しか観ていないけど。なんでも芸歴は長いらしい。子役時代から、テレビや映画で幅広く活躍。「人生は長く静かな河」という映画の少年役で注目された。(そのとき14歳)それ以降あのミシェル・ハネケ監督の「ピアニスト」で、カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を最年少で受賞したという実力派。

そんな彼が今回初めて立案から映画製作に挑んだのが、長年の念願だった本作。友人でもあるフローラン=エミリオ・シリとともに、これまで浴びるように見てきたアメリカ映画の影響を受けながら、妥協せず硬派な信念を貫き完成させたのがこの「いのちの戦場ーーアルジェリア1959」なのです。

さて少し本作の内容についてふれたいと思います。

アルジェリア ←どんな国なのか?こちらをご覧ください。

地中海をはさんでアフリカ大陸があるわけですが。モロッコとチュニジアの間にある国がアルジェリア(ヨーロッパに近いアフリカの国)です。

本格的なアルジェリア戦争が始まったのは、今から55年も前にさかのぼります。

以下その年表です。


1830年、    フランスによるアルジェリア征服
1881年、    アルジェリア、フランスの本省直轄下に入る
1914年~18年 173000人のアルジェリア兵士が戦地へ送られ、
            119000人のアルジェリア労働者がフランスへ送られる
1945年      コンスタンティーヌ、セティフ、ゲルマで暴動
1948年      「アルジェリア議会」選挙実施、政府寄り議員が多数に
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1954年     FLN(アルジェリア民族解放戦線)が蜂起、独立戦争始まる
1957年     “アルジェリアの戦い”
1958年     アルジェリア共和国臨時政府、設立宣言
1959年8月   ド・ゴール将軍の第1回アルジェリア視察
1960年     国連総会でアルジェリア独立の権利を承認
1961年    ヨーロッパ人テロリスト・グループが秘密武装組織OASを組織
1962年    エヴィアン停戦協定~国民投票により自決独立賛成多数~
         フランスがアルジェリア独立を承認~アルジェリア独立宣言
1999年   「アルジェリア戦争呼称法」制定

初めて封印を解かれたフランス版「プラトーン」!

遠い日本からはよくわからない複雑でデリケートな歴史がそこにはある。地中海を挟んだ北アフリカのアルジェリアは、130余年にわたりフランスの植民地だった。

1830年以来“フランス人”となったアルジェリア人たちは、“フランス兵”として2つの世界大戦に従軍。近隣のアフリカ系“フランス兵”たちと分かち合ったその苛酷な戦場の模様は映画「デイズ・オブ・グローリー」(06)で詳しく描かれている。

独立を勝ち取ったアルジェリア戦争(1954~62年)はフランス人が経験した最大の植民地独立戦争でベトナム戦争の裏側で当時の世界を震撼させ。日本の新聞でも頻繁にその動向が報じられていたそうだ。

関連映画 

「アルジェリアの戦い」 65年 アカデミー賞外国映画賞・監督賞ほかノミネート。ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞 (但し本国映画ではなく、イタリア映画)

あらすじ

 1954年、フランスからの独立を求め、アルジェリア民族解放戦線(FLN)が武装蜂起する。フランスはこれを押さえ込むため大規模な軍隊を投入、戦争へと発展する。1959年、フランス軍はゲリラ戦を展開する解放戦線に苦戦を余儀なくされ、戦況は出口の見えない泥沼化の一途を辿っていた。そんな中、戦死した前任者の後釜としてカビリア地方に赴任してきたテリアン中尉。さっそく向かったタイダ村で、テリアンは情報を引き出そうと村人に暴力を振るう部下のベテラン兵士を制止する。過酷な戦場でも人間性を保ち節度ある行動を自らに課そうとするテリアンだったが…。 
(allcinemaより抜粋)

左端がドニャック軍曹

さらに詳しく・・・・。

理想に燃える青年テリアン(ブノワ・マジメル)はマゼル前線基地へと赴任してきた。設計技師でありながら、ゲリラ戦の前線任務を志願。彼の案内を務める部下は、歴戦のベテラン兵士ドニャック軍曹(アルベール・デュポンテル)無言の視線がテリアンに突き刺さる。いよいよふたりの戦場が始まった。

カリビア地方はフェラガ(アルジェリア人ゲリラ)対策のために立入禁止地区が設けられていた。“立ち入るものはすべて撃つ”が掟

境界にあるタイダはフランス軍とFLNの両方から協力を強制される板ばさみの村。FLNの情報を引き出すためにはテリアン率いる小隊も定期的な視察が欠かせない。

テリアンは初めて村に入って驚く。何と村人を脅し、暴力をふるう部下の姿。テリアンは彼らを制止する。そんなテリアンにドニャックの目は冷ややか。

ところが、戦場の実態はそんなものじゃあなかった。タイダの村人は小隊より先回りして、FLNに皆殺しにされていたのだ。その惨い光景に取り乱すテリアン。偶然井戸の中で一人生き残っていた少年アマールを助け、基地に連れ帰る。

また立入禁止地区を通りかかった女たちを容赦なく撃ち殺すドニャックに激昂したテリアン。実は死体を調べるとそれは変装したフェラガだった。捕虜を基地に連れ帰り、拷○でフェラガの隊長の居場所を吐かせる姿に、誰もが黙認状態。

初めは腹立たしく思っていたテリアンも少しづつ理解すること

フランス軍の中にはアルジェリア兵士の兵士たちがいた。その一人ラシード。ドニャック自ら寝返らせた元FLNだ。

もうひとりのアルジェリア兵士サイードは第二次大戦・モンテカシノの英雄、そのためフェラガに目をつけられ家族を殺されていた。


右の兵士がサイード

ドニャック軍曹はインドシナの妻に送金を続けている。テリアンも妻と息子がいることを話す。そんなテリアンに、ドニャックは「あんたは帰った方がいい」と言い放った。

ドニャック軍曹の戦友、ベルトー大尉(マルク・バルベ)による力による捕虜への情報吐かせ・・・・。テリアンはその状況に、アルジェリア戦争の間違いを主張!そんなテリアンに勝手のレジスタンス闘士は、自分がゲシュタポから受けた○問のことを話し、「君もそのうち俺たちのようになる」と笑うのだった。

捕虜の自白をもとに、FLN隊長スリマンのアジトに近づくテリアンの小隊。突然、姿の見えぬ敵からの猛射撃を受ける。あちらこちらで兵が倒れる。


テリアンも初めて敵を射殺する。本隊のヴェルス少佐から援護空爆の報が届く。“特殊爆弾”である。怯える兵士たちや訳もわからず焦るテリアンをなだめるドニャック。すさまじい爆弾が落とされ・・・・。焼け野原に息をのみながら戦果を確認する小隊。

ラシードが姿を消した。テリアン、ドニャック、サイード、3人それぞれに彼の“失踪” への思いがつのる。

アルジェリアにとって、フランスは、レジスタンスに対するドイツ軍なのだろうか?
やがて道端で見つかったラシードは、FLNのやり方で処刑されていた。

FLN捕虜の“逃走”を促すベルトーの指示をテリアンは拒否。非公認の処刑だ。代わりに捕虜を連行したドニャックは、彼がサイードと同じくモンテカシノに従軍した元戦友だということを知る。フランス政府から贈られた勲章を胸に敬礼して処刑を待つその男を見逃そうとしたその時、一発の銃声が響く。

戦争の不条理を知り始めたテリアンには“任務完了”の報告に来たドニャックの苦悩をまだ理解することはできなかった。

FLN、スリマンを探す小隊の過酷な行軍は続く。森の中で激しい銃撃を受け、作戦を中断して負傷者を運ぶ道は灼熱の岩山。部下たちの相次ぐ戦死。そしてテリアンの苦い失敗・・・・。まったく動向のつかめないゲリラ戦の連続。そしてあのベルトーまでもFLNの手にかかってしまう。

次第に自分を見失っていくテリアン、ついに自ら○問に手を染めてしまう。

掃討作戦の成功により勲章と休暇を得てグルノーブルの家族のもとへ戻ったテリアンだったが、家の前で妻と息子の様子を見ながら車から降りることが出来ない。
代わりに入った映画館では、アルジェリアの平和にフランス軍が貢献しているというニュースがむなしく流れていた。

基地へと戻ったテリアンは○問部屋の異変に気づき、慌てて駆け込む。ようやくドニャックの痛みに気づくテリアン。しかし基地でのクリスマス・パーティの間に、ドニャックは基地から姿を消した。
ドニャックを探して渓谷を歩くテリアンの目の前に、戦場の暴力の連鎖がもたらした悲しい現実が姿を現す・・・・。

心まで蝕む戦争の恐ろしさ、正義をもって参加した戦争に、テリアンも自分を失うというはめに・・・・・。結局最後は自分に還って来た。これで良かったのかな?

ドニャックは戦争から逃げ出したおかげで助かります。

解説

フランスにとっての暗部として長らくタブー視され、近年ようやく歴史的な再検証の動きが高まってきた“アルジェリア戦争”の実像に迫る戦争ドラマ。長年にわたる植民地化政策のために複雑にねじれた関係となっていたフランスとアルジェリアの間で繰り広げられた独立戦争の過酷な現実をリアルに描き出す。主演は本作の立案者でもあるブノワ・マジメル。脚本はアルジェリア戦争を題材にしたTVドキュメンタリーも手掛けパトリック・ロットマンが担当。監督は「スズメバチ」「ホステージ」のフローラン・シリ。(allcinemaより抜粋)

 

 

オフィシャル・サイト
http://www.1959.jp/

メディア 映画
上映時間 112分
製作国 フランス
公開情報 劇場公開(ツイン)
初公開年月 2009/02/28
ジャンル ドラマ/戦争

 ブノワ・マジメルの素顔(おまけ)


追記:“ショコラ”や“パリ”でお馴染のジュリエット・ビノシュと結婚していたとは、知りませんでした!彼女との年齢差は10歳ほど。ジュリエット・ビノシュのほうがお姉さんです。

 

 

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1 Comments

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アルジェリア、韓国 (あゆ)
2009-09-21 23:03:47
アルジェリアとフランスの関係って、日本と韓国の関係に似てますね・・・
韓国も元は日本領で、戦争中は日本兵として戦った朝鮮人も多くいたようです。
戦中、神風特攻隊員としてアメリカ軍艦に特攻して死んだ朝鮮人日本兵、B29に体当たりして日本を空襲から救った朝鮮人日本兵パイロット・・・。やはり、戦争はだめですよ。いつか、この朝鮮人日本兵の映画も出来て欲しいです。
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