銅版画制作の日々

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映画「キャタピラー」特別先行上映会 大阪市中央公会堂にて

2010-06-27 | 映画:ミニシアター

会場で購入したパンフです。但し単なるパンフではありません。

上映終了後、主演の寺島しのぶさんと若松孝二監督の舞台挨拶が30分間ありました。

6月25日(金)大阪市中央公会堂にて「キャタピラー」の特別先行上映会が開催されました。残念なことにこの日は雨。でも多くのお客さんが早くから中央公会堂前に並んで待っていました。ラッキーなことに最前列近くに席を取る事が出来て良かった!前はプレスの方や映画関係者のための席ということで、一般の観客は座れません。

さてご存じのようにかなり中身は衝撃的な作品です。このタイトルとなっている「キャタピラー」という意味も初めは分からなかったのですが。。。。。。
実は英語で芋虫のことらしく、あの江戸川乱歩の小説「芋虫」がモチーフとなっている作品。上映時間はいまどきの作品としては1時間25分という短いものですが。内容は濃いものであると思います。

戦争がもたらした人々の心の苦しみ、身体の苦しみははかることのできないほど辛くて恐ろしいことだとこの作品を通してまざまざと実感。

本作に登場する夫婦の姿はまさに負の状況。傷ついた夫への愛と憎しみが交互に彼女の中で生まれる。その心理が本当に真に迫ってくるような感じだ。
お国のために犠牲となった夫へねぎらい、尽くす妻の心情はどんなものだったのか?その複雑な心理が渦巻いていた。

STORY(Movie Walkerより拝借)

一銭五厘の赤紙1枚で男たちが召集されていく中、黒川シゲ子(寺島しのぶ)の夫・久蔵(大西信満)も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。だが、シゲ子のもとに帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。村中から奇異の眼を向けられながらも、多くの勲章を胸に“生ける軍神”と祀り上げられる久蔵。四肢を失っても衰えることのない久蔵の旺盛な食欲と性欲に、シゲ子は戸惑いながらも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くすのだった。だが、自らを讃えた新聞記事や勲章を誇りにしている久蔵の姿に、シゲ子は空虚なものを感じ始める。やがて、久蔵の食欲と性欲を満たすことの繰り返しの日々の悲しみから逃れるかのように、シゲ子は“軍神の妻”としての自分を誇示する振る舞いをみせるようになっていく。そんな折、日本の輝かしい勝利ばかりを報道するニュースの裏で、東京大空襲、米軍沖縄上陸と敗戦の影は着実に迫ってきていた。久蔵の脳裏に、忘れかけていた戦場での風景が蘇る。燃え盛る炎に包まれる中国の大平原。逃げ惑う女たちを犯し、銃剣で突き刺し殺す日本兵たち。戦場で人間としての理性を失い、蛮行の数々を繰り返してきた自分の過ちに苦しめられる久蔵。混乱していく久蔵の姿に、シゲ子はお国のために命を捧げ尽くすことの意味を見失っていく。1945年8月6日広島、9日長崎原爆投下。そして15日正午、天皇の玉音放送が流れる中、久蔵、シゲ子、それぞれの敗戦を迎えるのだった……。


父や妹はしげ子に妻だから宜しくと伝えて去って行く。全て押しつけるというのも何か納得いかないような、、、、。


名誉の負傷にしては、あまりにも残酷。生きて戻ったのが果たして良かったのか?

凄い映像描写にびっくり。久蔵と妻の絡みシーンもかなり凄まじいし、人間ってこんな状態になっても性の欲望ってあるのかしら?男性の本能はよくわからないが。そんな夫の要求に応える妻の姿に複雑な気もしたが。

寝て、食べて、、、、、。しげ子が夫久蔵に話すのが印象に残った。それしかない。いやそれしか残されていないというのが現実なのだから。彼にあるのは過去の栄光。天皇陛下からの勲章と栄誉を讃えらえた新聞の記事。それが何になる?これから先、何に希望を持って生きていけというのか?


軍神さまと崇められても、、、、、。見世物にしか見えない。

若松孝二監督の話によると、女性の方が観終わった後、立ち上がれなかったらしい。そういう意味でかなりショッキングな作品といえるかも。


寺島しのぶさん
モンペが似合うのは彼女しかない!と若松監督。何とノーメイクで挑んだしげ子役。

ベルリン映画祭で銀熊賞受賞!さすがの演技。本当に素晴らしかった。


夫久蔵役の大西信満
受賞はしなかったけれど、寺島さんに負けず劣らずの迫真の演技には凄いなあと思いました。


芸術家クマさんも登場。若松監督の友人だそうです。

他には軍人役でARATAもちょこっと登場。

あっという間の85分。終了後はいよいよ若松孝二監督と寺島しのぶさんが登場です。

寺島しのぶさんは、渋い紫色のノースリーブのワンピース、髪は一つに束ねておられました。顔が小さい!色白で綺麗な方でした。映画のしげ子とは随分イメージ違います。そしてベルリン映画祭で受賞された銀熊のトロフィーも持参されて、皆の前で披露して頂きました!間近で見れたのはラッキーでした。


若松監督がどうしてもしげ子役には寺島さんにという切なる希望だったらしく、口説かれたようです。そんな寺島さんもかねがね監督との仕事を願っていたということだったそうで、、、、。話しているうちに、表現したいものにたいする姿勢が同じだったのが共通点だとわかった。そしてモンペが似合うのは寺島さん以外考えられないという若松監督。寺島さん、隣で笑っておられましたね。

予想以上の多くのお客さんに、監督さんかなり感動されていました。何でも名古屋は少なかったので、ちょっと残念だったと寺島さん。雨の中こんなに大勢の方が足を運んでくれたことに感謝!

寺島さん、撮影日数は何と12日間という超短期間の中、かなり苛酷な撮影だったそうで血尿が出たりというアクシデントもあったらしい。若松組は14名という少ないスタッフだけに、俳優が自らメイクをしたり衣装も自分で着なければいけない。マネージャーも連れて来ずにというのが若松監督の方針。また監督の撮影はリハがなく、本番一発というやり方だそうで、寺島さん自身経験のない現場だったので、新鮮だったようだ。

そして若松監督よりパンフのピーアール!ぜひ購入してほしい。中身は決して裏切らないものだと太鼓判を押された。良い作品製作のための資金作りのために本を買って頂けると嬉しいという話でした。

普天間基地について、政府の姿勢にかなり残念だとも話しておられました。
最後に正義の戦争はない!と、、、、、、。時間がもっとあれば、若松監督はもっと話したかったんだろうに。残念ですが。

メディア 映画
製作国 日本
公開情報 劇場公開(若松プロダクション=スコーレ)
初公開年月 2010/08/14
ジャンル ドラマ/戦争
映倫 R15+
オフィシャル・サイト
http://www.wakamatsukoji.org/

 

8月14日から全国でロードショーだそうです。ぜひご覧ください。

 

 

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3 Comments

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観られたんですね・・・ (マリー)
2010-06-27 13:17:43
こんにちは~~。
この作品、いろんな意味で凄そうと思ってました。

こういう状況って、当時では珍しいものではなかったかもしれないですね。
昔の女性は耐えるしかない。
ストーリーを読んでいるだけで切なく苦しくなる。

どういった形でラストを迎えるのだろう・・と気になります。
1館しかないミニシアター系映画館で上映が決まったらしいので観に行きます。多分・・・

四肢のない姿は、CGでしょうね。
でもリアル・・・



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ノーメイク (にゃむばなな)
2010-08-16 12:46:58
監督から「メイクさんを雇う資金がないのでメイクは自分でやってほしい」と言われた寺島さんが「じゃぁ、ノーメイクでやりましょう」とご提案されたそうですね。
寺島さんいわく、「この作品に素の姿で挑まないと全てが嘘に見えてしまうから」だそうなんですが、凄い女優魂を感じましたよ。
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すいませんでした・・・ (sakurai)
2010-08-23 10:33:17
伺うといいつつ、遅くなってしまいました。
寺島さん、さすがオーラがびんびんでしたね。肌が透き通るようにきれいでした。
若松監督、少年のままおじいちゃんになったみたいな感じで、好きです。
数少なくなった頑固じいさんには、まだまだがんばってもらいたいですね。
これでお話聞いたのは、二度目ですが、監督の伝えたい!という思いは十分受け取りました。
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