無愛想で、地味なイリスにも夢があったはず
9月11日、京都みなみ会館にて鑑賞。先日紹介した「街のあかり」の公開を記念して今、アキ・カウリスマキの過去の作品が上映されている。その第一弾が「マッチ工場の少女」 今から17年前、1990年に製作された作品である。主人公イリスを演じるのは、その後カウりスマキ作品にはかかせない看板女優となる、カティ・オウティネンである。
カウリスマキの作品の中で最も悲惨な作品といわれているのがこの「マッチ工場の少女」。
お話
母親と居候の男性とともに暮すイリスは、毎日マッチ工場で働き、二人を養っていた。たまに地元のダンスホールに通い、踊ってくれる男性を待つのだが・・・・。他の女性には誘われるのに、彼女には誰も誘いはなく、いつもひとり皆が踊るのを眺めていた。ある日、意を決して給料日にを買うも、居候の男性より「売・春・婦」と言われぶたれる。ドレスを返すようにと母からも・・・・・。しかしイリスはそのを着て、ディスコへ出かけるのだった。そして生まれて初めて、男性に声をかけられることに。そして、一夜をともにする。幸せを感じるのも束の間。男性から、「遊びだっただけ」とあっさり捨てられてしまう。しかしその後、何と男性との子どもを身ごもってしまうことにそのことをでイリスは伝えるが、「堕胎するように・・・。」と送金してくる男性。
イリスはこれを機に復讐のにと変貌する薬屋にてねこいらずを購入。ここから復讐劇が始まる。男性だけでなく、罵倒した両親にも、ねこいらずを入れたで殺害。すべて成功する。しかしその場面は映ることがなく、観客の想像でどうなったか?感じ取るという設定だ。殺害後も淡々とマッチ工場にて働くイリス。そこへ二人の刑事がやって来る。イリスは刑事とともにその場を立ち去るのである。
70分という短い作品の前半はほとんど台詞がない。場面の展開だけで、イリスの人生の悲惨さがひしひしと伝わるところが何ともいえない。詳細な場面を見せず、あくまでも、観客の想像で感じ取るという作品の無駄のないところにも凄さを感じた。
アキ・カウリスマキの独特な映像の素晴らしさに感動した。お話の内容は悲惨なものだが、淡々と進むドラマ展開は何ともいえない愛おしさを感じるのだ。
10月27日~11月2日の1週間限定で、アキ・カウリスマキ作品「過去のない男」が京都シネマにて上映決定しました。ぜひ皆さん、この機会にご鑑賞下さい。