前夜祭

「一日早いから前夜祭だけど、おめでとう。」

今日の出先でのティータイムのこと。
スターバックスで、カフェラテのカップを手にした主人が言いました。

「えっ？　前夜祭？」

間抜けの私は、「何の…？」と言いながら、主人と乾杯をしました。

「結婚２５周年だよ。」

『そうだったわ。明日で結婚２５周年、開業１９周年だわ。』

私は感激して、思わず涙ぐんでしまいました。
忘れていたのに…です。
数日前までは覚えていたのですが、今日はすっかり忘れていたのです。

私は、テーブルの上に、写真を取り出しました。
私のお財布に、お守りのように入れて持っている、新婚旅行の時の二人の写真です。

カフェラテを飲み、いつものように、一つのケーキをシェアしながら、
主人と新婚旅行の場所を辿り、あの頃の思い出を振り返ったのです。

当時、伊丹市に新居を持った私たちは、
まず、新幹線で福山市の私の両親のお墓に結婚の報告をして一泊。
翌朝、新幹線で九州へ。
レンタカーで、福岡から佐賀、長崎、大分を回り、福岡空港から伊丹に帰ってきたのです。

思い出話をしながら、２５年前とは思えないほど遠い昔のことのような気がしたり、
もっともっと最近のことだったような気がしたりして、楽しい時間が過ぎていきました。
お仕事についても話が弾み、
この人のそばに居させてもらえたから、今の私があることを改めて感じました。

いろいろと話しながら、この人に添って歩いてくることができたからこそ感じられる幸せに、
胸が詰まることが何度もありました。

こんなに優しい人に出会えたことを嬉しく思い、
変わらない愛情に支えられてきたことにも、心から感謝しています。
あの頃のあなたが好きでした。
そして今、あの頃よりも、あなたをもっと好きになっています。

本当に、本当にありがとう、あなた。
愛しています。