まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

各国会社法の機関設計その①

2013-08-17 13:23:15 | 商事法務

 

 今回は、各国会社法に定める会社の機関設計についてです。株主(持分保有者)総会の最高意思決定機関及び会計監査人等の外部を起用する部分は除きます。ポイントは、I)戦略・方向性を含む業務執行の意思決定機関、II) 意思決定を具体的に実行する業務執行機関、及びIII)業務執行を監督・監査する機関の3つをどのように設計するかです。これは3つが分立するのではなく、相互連携して3つの機能を発揮するということ、3機関連立を効果的に行う設計をするということです。また、これら機関のメンバーの株主総会での選任方法としては3つあります。(1) 日本では、取締役・監査役は株主総会で選任されます。(2)米国では、取締役を選任し、取締役会で、監査委員会のメンバーを選任(日本の委員会設置会社も同様)し、また執行機関である役員を選任します。(3)ドイツでは、まず監査役会メンバーを選任します。監査役会メンバーが執行機関等である取締役を選任します。日本、米国、ドイツ等について述べてみましょう。<o:p></o:p>

 <o:p> </o:p>

 

 まず日本は、2種類ありますね。従来型の①取締役・取締役会・代表取締役・監査役(会)と米国式を取り入れた委員会設置会社での②取締役・取締役会・委員会・代表執行役・執行役ですね。

取締役会は、上記I)とともにIII)を行う機関ですね。監督という視点から言うと取締役が他の業務執行取締役(=代表取締役・選定業務執行取締役)の監督もするという建前となっていますが、実際は財務担当役員等を除いてなかなか機能せず、主として社外取締役(独立取締役)に期待される権限&責任でしょう。委員会設置会社では、業務の基本事項(委員会メンバーの選定・執行役の選任も含む)の決定は取締役会が行いますが執行は執行役なので、取締役会の主業務は、委員会メンバー・執行役の監督であり、実際上は監査委員会が執行役・取締役の監査を行います。<o:p></o:p>

 <o:p> </o:p>

 日本の株式会社の機関設計は、ドイツ系と米国系を合わせた二重構造ですね。日本は、各国の制度を自国に適するようにアレンジして、これを旨く昇華させるのが得意の国ですが、会社法については消化不良・ごちゃごちゃですね。梅謙次郎などによりドイツ商法を基本にして策定された商法(会社法)が1899M32)年に公布されました。その後1950(S25)年に米国の制度を取り入れ授権資本制度や取締役会法定等を定め、1990年ごろから頻繁に商法改正を行い、委員会等設置会社制度導入、そして有限会社法等も取り込み、会社法として単行法化して2005 (H17) 法律第86号として成立し、2006(H18)5月に施行されました。<o:p></o:p>

 

 

 次は米国です。各州会社法により少し違いはありますが、大体以下ではないでしょうか。取締役会、取締役会により取締役をメンバーとして組成される(取締役会の下部機関である)委員会、日常業務の執行については取締役会によって選任されるCEO等の役員が機関ですね。ただ、委員会には取締役会の授権により、意思決定を行う委員会があります。また監査は監査委員会(audit committee)によって行われます。委員会は、日本では硬直的ですが、自由に設置できます。ですから財務委員会(finance committee)もありますし、役員の業務執行を監督し併せて執行も行う執行委員会(executive committee)等もあります。会社法で詳細に規定している訳ではなく、慣行的な部分もあります。尚、NYSEでは上場の条件として社外取締役だけで構成される監査委員会設置を義務付けています。 特徴は、取締役会が全ての会社の権能(All corporate powers)を持つということ、即ち、上記のI),II)&III)とも取締役会を頂点として、その下に授権された範囲の意思決定、業務執行、監査・監督を行う組織を、会社法の範囲でかなり自由に設計できるということです。模範事業会社法8.01(b)では以下のように規定されています。<o:p></o:p>

All corporate powers shall be exercised by or under the authority of, and the business and affairs of the corporation managed by or under the direction of, its board of directors, subject to any limitation set forth in the articles of incorporation.

<o:p></o:p>

Dsc00379

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする