まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

中国影の銀行のリスク負担者

2013-08-01 00:17:48 | 社会・経済

 

 中国の影の銀行(シャドーバンキング)について、NHKのクローズアップ現代や日経ビジネス(722日号)などで、リスクがあるとの指摘がされています。日経ビジネスによれば、2009年末に1兆元だった理財商品の残高は、20133月末現在82000億元(約131兆円)にまで拡大したとしています。融資平台が、地方政府の指示でインフラや不動産開発を行っている。デフォールトになったときに誰が損失を負担するか不明瞭と述べています。<o:p></o:p>

 

 

 影の銀行の仕組みは以下であり、オフバランス(銀行のBS上に表示されていない)になっていると言われています。<o:p></o:p>

△個人・企業 

↑理財商品販売↓投資

△銀行・信託会社

↓投資・融資↑返済(デフォールトの可能性)

△融資平台(プラットフォーム)

↓不動産等に投資・融資↑償還・返済<o:p></o:p>

 

 

○ ○ 日経ビジネス等では、専門家のコメントが記載されていますが、肝心な点については触れられていません。なぜ銀行がお金を貸しているのにオフバランスになっているのかという点です。実は、これは銀行がお金を貸していないからなのです。<o:p></o:p>

 

・ 中国のオフバランス取引には2種類あります。信託会社が大衆向けに資産運用商品(*)を販売する信託融資と銀行が仲介を行う委託融資です。このうち資産運用(=理財)商品について、2005年には約600の販売が2010年末には約12,000まで増えたようですが、この商品は大衆向けであるところから、2010年末以降、中国銀行業監督管理委員会(=銀監会)が規制に乗り出し、急激に減少しました。従い現在は、銀行の委託融資が膨らんでメインになっていると思います。<o:p></o:p>

 

*銀信合作:商業銀行が信託会社を通じて組成された資産運用商品を顧客に販売し、その資金を不動産開発等を行っている地方政府系企業等に貸し出すこと。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 オフバランスなので銀行のBSに表示されません。しかし201012月に中国人民銀行が、「社会融資総量」規制を行い、従来把握していなかった銀行のオフバランス資産の報告義務を課し、また一部のオフバランス資産を預金準備率の積み立て範囲に含めました。

(尚、融資総量規制には、株式・債券市場を経由した資金調達を含みますが、中国では、まだこの調達は萌芽期で未発達です)。従い中国の中央銀行である中国人民銀行はオフバランス取引のボリュームもある程度把握していると思います。<o:p></o:p>

 

 

 中国では、企業が企業に融資を行うことは法律で規制されています。即ち、会社は会社に資金を貸せないのです。銀行の委託融資とは、企業が自分の資金を、銀行に委託して貸し付けるのです。銀行は、受託手数料として0.3%とか1.0%とかを乗せて企業に貸し付けますが、リスクは自分の資金を貸し付ける貸付者が負います。即ち、銀行の業務収益は受託料であって融資額ではないのです。ですからオフバランスにできるのです。<o:p></o:p>

 

 

 過去の有名な例は、広東省政府系の広東国際信託投資公司(GITIC)の破綻があります。でたらめな投資、オフバランス取引を行い、1998年に中国人民銀行の命令で閉鎖されました。資産215億元、負債363億元でした。破たん処理は、個人に対する未払金は元本返済だけ(金利は対象外)、その次は未払賃金、社会保障福祉費、税金に充当し、法人債権者には貸付元本の12.5%のみ返済。即ち、87.5%が切り捨てられたわけです。その法人債権者は外国債権者、多くが日本の銀行でした。当初、地方政府系でもあり、政府が面倒を見るという甘い見方をしていた日本の銀行は、バッサリ切り捨てられたわけです。この時期19972000年に、人民銀行により閉鎖を命じられたのは、他に中国農村発展信託投資公司、その他の投資公司等があります。当時の債権者=貸付者は外国の銀行でしたが、現在の委託融資の貸付は中国で早めに大都市で不動産業等を行い儲けた企業等かもしれません。<o:p></o:p>

 

 

 リスク負担は、一次的には余裕資金などを銀行経由委託融資している企業が負います。これが中国発金融危機に発展するかは、シャドーバンキングの実態をある程度つかんでいる人民銀行が、他山の石としての日本のバブル時代の融資、米国のサブプライムローン等の違い・状況をよく研究し、合わせて中国経済の冷え込みをきたさない様にしながら、先手先手と手を打つかどうかということになると思います。<o:p></o:p>

 

コメント
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