まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

基準日公告を無しにする方法

2012-06-17 20:19:47 | 商事法務

 

○ 基準日公告をするのは臨時株主総会開催のときですね。その他の理由で権利行使をすることができる者を確定するために基準日を設ける場合もないではありませんがまれですね。定時総会は通常定款で定めてありますので不要ですが、今回は臨時総会の基準日公告を無しにする方法の解説です。2つあります。1つ目は基準日を定めない方法、2つ目は定款の規定の仕方を工夫することです。そもそも総会を開催するときは、招集通知を2週間前(非公開会社では1週間前)までに送付しなければなりませんので、基準日公告のアレンジをする総務の人以外殆ど見ることが期待できない基準日公告等殆ど意味の無い制度です。早く止めれば良いんですけどね。特に、公開会社でない会社=全株式譲渡制限会社は、誰が株主であるかは会社は常時把握できますので、全くナンセンスの制度です。<o:p></o:p>

 

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 まず1つ目の方法です。即ち基準日を定めなければ基準日公告は不要です。会社法1241項では、「――定めることができる。」⇒なければならないとは規定していないですね。2項・3項では「定める場合には」とか「基準日を定めたときは」としており基準日を定めなければならないとはしていません。

3項では「株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日(これは定時株主総会の基準日は通常定款に規定しますね)及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。」⇒定めたときは、公告しなければならない⇒定めなければ、公告は必要ないと規定しています。<o:p></o:p>

 

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 300条では、招集手続の省略が規定されています。この場合など、当然基準日公告などしませんね。300条は株主全員事前同意(=全員出席ではない)ですね。この他に、最高裁判例により株主全員が総会の開催に同意して出席した場合もOKとしていますね。このときも当然基準日公告もしません。<o:p></o:p>

 

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○ 中小企業の場合の公告方法としては、官報に掲載してするとしています。官報など誰が見ているのですか?信用調査会社とかぐらいしか見ていないでしょう。決算公告だってそうですね。その会社の株主には、事業報告書が作成されます。必要なのはこれから取引を考える会社等ですね。当然公告など見ていませんし、また仮に公告が掲載されていても見つけるのが大変です。官報は結構量がありますからね。どうすれば良いかですが、その会社と取引を行なおうとするときに、事業報告書(これもろくに作成されていない会社が多いですが、最低計算書類は作成されていますね。税務申告に必要ですからね)を、見せてもらえばいいことです。<o:p></o:p>

 

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○ では、基準日を定めないときはどうなるかですが、総会のとき(その日)の株主が権利を行使できるものと解釈されています。実際は、全株式譲渡制限会社の場合は、1週間前に招集通知を送るときの株主ですね。基準日を設定しなければ、公告は不要です。<o:p></o:p>

 

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 では2つ目の定款の規定の仕方を工夫する方法を考えてみましょう。一般的な定款の規定は以下ですね。

「当会社は、毎年331日の最終の株主名簿に記載または記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。」あるいは、「当会社の定時株主総会は、毎年6月にこれを招集し、臨時株主総会は、必要あるときに随時これを招集する。」と規定して、別の条文で「当会社の定時株主総会の議決権の基準日は、毎年3月31日とする。」等と規定する場合もありますね。<o:p></o:p>

 

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 では、私の考えるあほな?すばらしい定款の規定は、以下ですね。即ち、定款でこんな規定の仕方をしては如何でしょうか。

「当会社は、毎年331日の最終の株主名簿に記載または記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。また、臨時株主総会の開催が決定されたときは、当該臨時株主総会の会日の前月末日現在の最終の株主名簿に記載または記録された議決権を有する株主をもって、当該臨時株主総会において権利を行使することができる株主とする。ただし、会日と前月末日との期間が2(1)週間に満たない場合には前々月末日現在の最終の株主名簿に記載または記録された議決権を有する株主とする。」と規定すれば良いんですね。これで不都合があれば1244項の規定を利用すれば良いですね。即ち「株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。」という規定を利用すればいいのですね。<o:p></o:p>

 

コメント
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