まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

超過収益を自家創設のれんとしては如何か

2012-06-10 10:27:12 | 企業一般

 

 今回は、のれんとは超過収益力であるという考え方とIFRA/米国会計基準では減価償却をしない=減耗性資産ではない(減損テストはしますが)という考え方についての疑問を通じて、①買収などにより取得した過去ののれんは減耗性資産・減価償却資産とする、②通常の収益力であってもそれはのれんとして認める、③超過収益は自家創設のれんとして資産計上してはどうかという議論です。<o:p></o:p>

 

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【超過収益力】

 「のれんとは何か」については、201065日のブログ「のれん=超過収益力は間違いで記載しました。その中で一番普及している考え方は「超過収益力」という考え方ですね。超過収益力ですから、平均的な収益力を上回る収益力ということです。税法=相続税の財産評価基本通達の165のれん=営業権の価額算出では、平均利益金額を上回る超過利益金額算出の計算式を提示しています。また営業権の持続年数は原則10年としていますね。

 

 一方、新日本監査法人のWEBでは、「収益力」という言葉に配慮することなく「企業が経営を継続していく過程において蓄積された、他企業にない優位的な取引関係や従業員の質の向上など、現時点において測定しえない潜在的な企業価値を指します。」と言っています。<o:p></o:p>

 

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 のれん=超過収益力という考え方は非常におかしな考え方です。例えば資産を買収します。買収資産・負債はパーチェス法ですから時価ですね。しかし、資産を取得しても、資産だけで事業が出来ますか?最近はなんでも機械がやってくれるようになりました。例えば、半導体製造装置などもそうですね。ですから中国でもどこでも作れるようになりましたが、機械が自動的に製品を作ってくれても、それのマーケティング・販売開拓・アフターサービス構築等も必要です。こういった資産・負債だけでどうして事業を行ない収益を得ることが出来るのですか?そこに、人が知恵を出して汗を流してキャッシュを生み出す力をつけないと事業などできません。つまり、単なる資産や負債だけでは事業が出来ないのです。キャッシュを生み出す力、それが仮に平均的な収益力しかなくても、それがのれんなのです<o:p></o:p>

 

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【減耗性資産ではないとの考えについて】

 のれんは、減損テストはするけど非償却資産であると国際会計基準・米国会計基準で定めています。昔は、米国会計基準でも40年間という馬鹿に長い期間ですが、減価償却をする資産でした。全くおかしな考え方ですね。

例えば、「マクドナルド」「コカコーラ」は有名ブランドです。絶えずテレビ等でキャンペーンと組み合わせて広告宣伝しています。それによって集客力の維持・向上を計ります。もし、仮に全く広告宣伝をしなければどうでしょうか?その場合、集客力は永久に続きますか?そんな馬鹿なことないですよね。徐々に低減していきます。<o:p></o:p>

 

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○ 従い、仮に買収でブランドを買っても、放置しておけば「のれん」の価値は右下がりに落ちていくのです。これが維持向上するというのは、のれんの買収後に、例えば多額の広告宣伝費用をかけて維持するのです。仮にのれんの価値が一定だとすると、買収時の過去ののれん部分の価値は右下がりに下がり、同時に自家創設のれんを作り出している、従い一定に保たれているとしか言えないですね。(最近自家創設のれんを認めようという動きもあるようですけれど)。<o:p></o:p>

 

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【自家創設のれんの算出】

 自家創設のれんは、評価額の客観性や検証可能性がないので計上は難しい、従い旧商法では、有償で譲り受け又は吸収分割若しくは合併により取得した場合に限り、計上することができるとし、単体決算ではその取得価額を取得後5 年以内に、毎決算期において均等額以上の償却をしなければならないとしていました。<o:p></o:p>

 

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 果たして計上できないでしょうか?自家創設のれんは客観性や検証可能性がないのでしょうか?そんなことはないですね。業界平均の利益率を算出し、その利益率を超過した部分を金額換算したものを超過利益額として、自家創設のれんとして計上してはどうでしょうか。財務諸表というのは、細かな計算は厳密にしますが、のれんの計上などは、結構「えいやー」でおおざっぱなのです。超過利益率と超過利益なら計算ができますよね。<o:p></o:p>

 

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 従い、以下のように考えればどうでしょうか。

1) 平均利益金額までは、通常ののれん=普通のれんとして、自家創設のれんとしては資産計上できない。しかし、買収時等には、普通ののれんも顕在化して時価純資産を上回る金額は、のれんとして計上できる。

2) 買収のれんは、過去ののれんであって減耗性資産である。これを放置すれば当然減耗してしまう。しかし、これを広告宣伝・役職員の努力で維持すれば、買収時ののれんの金額までは自家創設のれんとして認める。役職員が不祥事を起こして、信用を毀損すれば当然減損対象となる。これは結果として減価償却しないので、現在の国際会計基準・米国会計基準と整合性がとれる。<o:p></o:p>

 3) 買収のれんでなくとも、平均利益を上回る利益の額は、自家創設のれんとして、(買収などしなくとも)計上することができる。

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コメント (2)
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