まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

企業の社会的責任と会社法の規定

2012-01-02 20:24:53 | 企業一般

 

○ 企業の社会的責任ということが最近頻繁に言われています。有価証券報告書の虚偽記載、食品偽装、賞味期限改ざんなどの不祥事が多く発生していますからね。これは古くて新しい問題ですね。かつて1981年の商法改正に際し、企業の社会的責任に関する一般規定を設けるべきか議論されたようですが、立ち消えになったようです。理由としては、一般規定を設けても精神規定であり法的強制力を与えるのは困難であるとか、取締役の行為規範を曖昧にして裁量の幅を広げてしまう危険性があるとの理由からのようです。まあ、その割には忠実義務だとか善良なる管理者の注意義務も結構一般的な規定ですけれども。<o:p></o:p>

 

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○ 企業活動が無いと社会は成り立ちません。現代社会では最も重要な社会の構成単位ですね。また会社には、取引先、製品・役務提供先、株主、地域社会等の多くのステークホルダーが関係します。即ち、大きな会社になれば社会の公器でもあり、また社会に大きな影響を及ぼします。何かしらの会社の基本原則があっても良いのではないでしょうか。ご承知のように、民法の1条には以下のように基本原則が規定されています。民法は、当然自然人だけでなく法人にも適用されますね。

第1条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2.権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3. 権利の濫用は、これを許さない。 <o:p></o:p>

 

○ では、このような一般規定を設けた場合、法的強制力を与えるのは困難との議論がありましたが、果たしてそうでしょうか?

 ライブドアvsニッポン放送事件の東京高裁の決定で、濫用目的をもって株式を取得した敵対的買収者は株主としての保護に値しない例として、四つの事例が挙げられています株主としての権利の濫用は認められないということですね。少し長いですが該当箇所を引用してみます。「株式の敵対的買収者が、(1)真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買収を行っている場合(いわゆるグリーンメーラーである場合)、(2)会社経営を一時的に支配して当該会社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を当該買収者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的で株式の買収を行っている場合、(3)会社経営を支配した後に、当該会社の資産を当該買収者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で株式の買収を行っている場合、(4)会社経営を一時的に支配して当該会社の事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的で株式買収を行っている場合など、当該会社を食い物にしようとしている場合には、濫用目的をもって株式を取得した当該敵対的買収者は株主として保護するに値しないし、当該敵対的買収者を放置すれば他の株主の利益が損なわれることが明らかであるから、取締役会は、対抗手段として必要性や相当性が認められる限り、経営支配権の維持・確保を主要な目的とする新株予約権の発行を行うことが正当なものとして許されると解すべきである。」<o:p></o:p>

 

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○ 会社法には内部統制の規定が設けられましたね(36246号)。「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」を構築しないといけません。法令定款を遵守して企業経営をするのは当然のことですが、企業が社会で果たす重要な役割を考えれば、内向きの内部統制もさることながら、社会に貢献する積極的な方向性等の規定を会社法に設けるのも良いと思います。<o:p></o:p>

 

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