まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

英文契約のExpress & Implied Warranty(性能・品質保証)

2011-03-12 16:52:15 | 商事法務

  最近は結構英文契約を作成していますので、またちょっと英文契約のことを書いてみましょう。今回はWarranty即ち、品質や性能保証のことについてです(Guaranteeは、通常は他人の債務の保証で、品質保証はWarrantyですね)

米国企業が売主の契約書の性能・品質保証条項には、よく以下のような規定が入っています。

ABC- MAKES NO OTHER EXPRESS, IMPLIED OR STATUTORY WARRANTY AND EXPRESSLY DISCLAIM ALL WARRANTIES OF MERCHANTABILITY, FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE即ち、明示・黙示・法令上の保証以外は一切しませんし、Merchantability(商品性)Fitness for a particular purpose(特定の目的に適合する=目的適合性)の全ての保証責任を明確に拒否しますと言っていますね。この条項が果たして有効なのか等を検討してみましょう。

○ その前に、基本的なところで、そもそもExpress Warranty(明示の保証)とは何か、Implied Warranty(黙示の保証)とは何かですね。

1) Express Warranty = 例えば、このカラープリンターはA4サイズで、1分間で10枚印刷可能とかと、案内パンフレットや仕様書等に記載されているとこれがExpress Warrantyとなりますね。別に契約書にその旨の明記が必要な訳ではありません(勿論書いても良いですが)。取引の基礎(the basis of the bargain)となるものですね。

2) Implied Warranty = これは取引の性質や当事者の取引の状況から通常当然あると規定される保証ですね。これにはMerchantability (*2-314)Fitness for Particular Purpose (2-315)があります。

Merchantabilityとは、例えば靴を買ったときに、靴の中に針や釘が残っていたようなとき、誰しもそんな針・釘が残っているとは思わないですね。当たり前の事です。その製品が、製品として当然有すべき性質・性能の事、商品性があることが前提ですね。

Fitness for Particular Purposeとは、店の人にテニス用の靴を買いたいと言ったのに、陸上用の靴を渡された場合、陸上用の靴としてはMerchantabilityを持っているのですが、陸上用の靴ではテニスには使えません。テニスコートを傷めてしまいます。即ち目的適合性はないですね。

  Express Warranty:米国で製品を販売する売主の立場から言えばWarrantyはなるべく少ないしたいところですが、冒頭のような文言を契約書に記載したいところですが、上記のような一般的な条項では排除出来ない場合がありますので注意が必要ですね。製品案内や仕様書を顧客に提示して製品を販売する場合は、それを保証することになります。従い、実際の製品がその性能・品質を満たさない場合には保証責任を負います。即ち、製品案内や仕様書の提示がExpress Warrantyとなり、このExpress Warrantyの排除は制限があるからです。

具体的には、以下のように規定(2-316(1))されています。

Words or conduct relevant to the creation of an express warranty and words or conduct tending to negate or limit warranty shall be construed wherever reasonable as consistent with each other;  but subject to Section 2-202, negation or limitation is inoperative to the extent that such construction is unreasonable.

但し、Express Warrantyを例えば、修理・取替等に制限することは出来ます。

2-316(4) Remedies for breach of warranty may be limited in accordance with Sections 2-718 and 2-719.repairreplacementbuyerremedyを制限できる」

  Implied Warrantyについては、一定の方式を満たせば特約により否定することができます。Merchantabilityを否定する場合は、Merchantabilityを明確(conspicuous)に指摘して否定すればできますね。Fitnessを否定する場合も、書面で明確に(in a record and be conspicuous)否定すればできますね。(2-316(2))

*上記の括弧内の番号は、Uniform Commercial Code = UCCの条文番号です。ご興味のある人はCornell学のWEBをご参照ください。

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