まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

紛争解決手段としての仲裁の利用

2011-01-04 00:50:40 | 商事法務

  日本の契約書では、紛争解決については、よく裁判所について合意管轄の規定がありますね。例えば、本契約に関し、訴訟の必要が生じた場合には、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」等ですね、民事訴訟法の原則通り「被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄」とする場合もありますが。ところが国際間の契約では、よく契約書に仲裁の規定が設けられます。即ち「仲裁合意*」ですね。ということで、今回は仲裁の話です。

*仲裁合意:既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる一定の法律関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛争の全部又は一部の解決を一人又は二人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下「仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。(仲裁法21項)

  まず日本の仲裁法(平成1581日法律第138号)についてですね。仲裁法は、仲裁地が日本国内にある場合について適用(31)されますが、3条2項では、「141項及び15条の規定は、仲裁地が日本国内にある場合、仲裁地が日本国外にある場合及び仲裁地が定まっていない場合に適用する。 」としており、また同3項では、「第八章の規定(=仲裁判断の承認及び執行決定は、仲裁地が日本国内にある場合及び仲裁地が日本国外にある場合に適用する。 」としています。第8章の最初の条文である45条では「仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。)は、確定判決と同一の効力を有する。ただし、当該仲裁判断に基づく民事執行をするには、次条の規定による執行決定がなければならない。」として、海外でなされた仲裁判断についても確定判決と同一の効力を認めていますね。

諸外国でも、ニューヨーク条約加盟国では同様に外国でなされた仲裁判断(裁定)の効力を認めていますね。主要国は全て加盟国ですね。尚、加盟国一覧は、UNCITRALWEBでチェックしてください。↓

http://www.uncitral.org/uncitral/en/uncitral_texts/arbitration/NYConvention_status.html

○仲裁の性格・メリット・デメリット

(1) 性格

・公権力による解決ではなく、第三者たる私人による実務的見地による紛争の解決

・仲裁判断が法律上禁止されるものは仲裁になじまない。(例えば独禁法違反等ですね。但し、米国では例外があるようです)

(2)メリット

1)   迅速であること

2)   費用が安いこと

3)   手続きが簡単であること(国際取引紛争に関する面倒な裁判管轄の問題も無い)

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