まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

社員としての地位と会社の所有者

2008-09-16 22:07:29 | 企業一般

     イギリスのGDP(公式為替レートベース)の順位は、①アメリカ、②日本、③ドイツ(人口82m $3.322Trillion)、④中国(1,330m,$3.251Trillion)の次の五番目ですね。かつて世界一だったのにね。ロンドン大学のジェフリー・オーエン教授という人が、英国経済、英国企業の没落の原因は、市場原理の行き過ぎにあり、その理由としては①短期利益極大化を求める金融市場、②敵対的な労使関係、③労働者の教育水準の低さの3点であると言われているようです。これは米国にも当てはまりますね。

     ドイツのシュミット元首相は、市場原理の抑制が社会の安定に必要であると言われていたようです。福島清彦著 ヨーロッパ型資本主義 (講談社現代新書)から引用すると、シュミット氏は、もう10年も前に、「間違ったアメリカ流の新しいイデオロギーがある。その一つが「株主の価値」である」「株主のための価値極大化が推進されると、会社の顧客、同僚、会社の従業員に対する責任がとれないという危険があることを確認しておかなければならない」「いずれにしても、二つの基本的な認識を見失ってはならない。第一に、社会で進行する超高齢化時代にあっては、超福祉国家を作ることはできないこと第二に、「勤労する貧困者」という新しい下層階級を出現させてはならないことである」「従って、ヨーロッパ大陸の産業民主主義国家では、アメリカ的な見本は問題外である」等ですね。なかなか良いこと言われていますね。「美しい日本」とか意味不明の言葉を言って1年後に政権を放り投げるどこかの首相と大違いですね。

     株主は、会社の所有者と言われています。アメリカではそう思われています。株主の利益の極大化のために経営されるべきだと考えられています(米国でもJohnson & Johnsonのように、株主をTop Priorityをおいていない会社もありますが)。しかし、株主は会社を保有するという規定は会社法にはありません。即ち、株式の所有者は株主ですが、株主は会社の所有者という規定はないですね。本来の所有権の保有者であれば、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有します(民法206条)。全面的に支配する権能(管理権能・収益権能)を享受しますね。株主が多数いますので、それでは共有なのでしょうか。共有の法律的構成については諸説がありますが、有力説では、各共有者は各一個の所有権を有し、各所有権が一定の割合において制限しあって、その内容の総和が一個の所有権の内容と等しくなっている状態であるとか、一個の所有権を数人で量的に分有する状態であるなどと説明をされています。また、所有者は責任も負います(土地の工作物等の占有者・所有者の無過失責任民法717)。厳密には所有者でなく占有者ですが、飼い犬が人を噛んだら損害賠償責任を負いますね。

     株主は、お金を出せば終わりです。それ以上の責任は負いません。有限責任であり、無限責任を負わないですね。非上場会社なら別ですが、上場企業なら大株主は別かもしれませんが、別に共益権例えば、議決権を行使しようがしまいが勝手です。通常の所有権という概念では全く捉えられませんね。会社の場合はどういう所有権なのでしょうか?その辺をきちんと説明した論文・本を私はあまり見たことありません(東大の岩井教授の本ぐらいは読みましたが)。

     株式とは、細分化された割合的単位の形をとる株式会社の社員たる地位を言うとされています。従い、株主とはこの社員たる地位を持っている者ということになります。株主は株式の保有者ですが、会社の財務諸表を見ると、債権者、退職給付を含む労働債権を持つ従業員等もいます。この総体が会社ですよね。私には、社員たる地位保有者が、どうしていきなり会社の所有者という論理になるのか、よく分かりません。

(今回は前半の文章と、後半がうまくつながらないですね。会社はステークホルダーの物といいたいのですが。まあいーか)

032 046 052

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