まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

米国企業の株主総会

2008-02-24 17:47:42 | 商事法務

     米国企業の株主総会では何を決めるのでしょうか?日本企業とも対比しながら少し書いてみましょう。勿論米国は、各州の会社法で少し違うと思うのですが、模範事業会社法をベースに考えて見ましょう。また、DelawareCorporation Lawも参考にすれば良いと思うのですが、私は余り知りませんので、ご興味のある人は、以下のWEBをご参考にされては如何でしょうか。

http://www.corp.delaware.gov/DElaw.shtml

     米国企業の定時株主総会の会議の目的たる事項(議案)は、通常は「取締役の選任」だけですね。他に、ときどき、基本定款の変更、合併、全部又は重要な一部の事業譲渡、解散等を決議します。その他、SECに株式が登録されている会社では、一定の要件(例えば、株式取得後1年以上保有等)を満たせば、株主提案権がありますので、株主が議案を提案するのもときどきあるようです。日本では、会社法により提案権がありますね(議決権の1%以上or 300個以上。公開会社では行使前6カ月保有も条件)。あまり行使されませんが。

     米国では、剰余金分配の権限は取締役会にあります。計算書類・財務諸表を承認したりすることもありません。取締役会でファイナルになりますね。

― 日本では、計算書類は総会承認事項ですね。この承認は、「計算が正当であることを承認する決議である」と学者(例えば 神田 会社法7版 P226)は言われています。株主が帳簿閲覧権を行使してチェックする訳でもなく、結果表示の書類である計算書類の計算が正当であるとどうして言えるのか、不思議な見解ですね(カネボウ等あとから粉飾決算が出てくる事例もままありますね)。引当金の計上等については承認・非承認と株主は言えるかもしれませんが、計算書類だけでは中身もよくわかりません。非承認の合理的理由も言えません。承認は総会での承認が原則ですが、会計監査人設置会社では、会計監査人・監査役の適法意見&監査役の不相当意見の付記の無い場合は、これでファイナルですね。委員会設置会社は、取締役会と会計監査人が必須ですので総会決議が要りませんね(監査役・監査役会のかわりを監査委員会で行います)。

  尚、計算書類承認の意味については以下のBlogをご覧下さい。

http://masaru320.mo-blog.jp/business/2007/06/post_4884.html

― 日本では、剰余金の配当も総会決議ですね。例外は、会計監査人・監査役会設置会社で、取締役の任期を1年にすれば、及び委員会設置会社(取締役・執行役の任期は1年)が定款で定めれば、取締役会の決議で行えますね。

    米国企業の取締役の任期は、就任後最初の定時株主総会の終結の時迄であり、基本定款に別段の定めの無い限り、毎定時株主総会で取締役全員が改選されますね。しかし、面白い規定もあります。買収防衛策の一つとも言われていますね。基本定款に規定しますね。例えば、模範事業会社法8.06には、STAGGERED TERMS FOR DIRECTORSという規定があります取締役を2-3のグループに分けて(例えば全取締役を約1/3ずつ3グループ分けた場合)、第1グループの任期は1年、2グループ2年、3グループ3年として、改選後は3年ずつとする。そうすることにより、毎年1/3ずつ改選されるというものですね。

     米国の企業では、総会で議決権行使をする株主確定の為の基準日を決めた後、株主名簿を作成して閲覧に供さなければなりません。少し模範事業会社法を引用してみましょう。

§ 7.20. SHAREHOLDERS’ LIST FOR MEETING

(a) After fixing a record date for a meeting, a corporation shall prepare an alphabetical list of the names of all its shareholders who are entitled to notice of a shareholders’ meeting. The list must be arranged by voting group (and within each voting group by class or series of shares) and show the address of and number of shares held by each shareholder.

(b) The shareholders’ list must be available for inspection by any shareholder, beginning two business days after notice of the meeting is given for which the list was prepared and continuing through the meeting, (以下省略)

― 日本と大違いですね。日本では、一定の例外がありますが、開示がMustになったにも拘わらず、相変わらず株主名簿を隠そうとしていますね。やましいことがあるのですかね(個人株主の住所は開示不要と思いますが)。

○ 日本の株主総会では、事業報告を行います。米国では、事業報告の義務もありませんね。義務にすれば良いと思いますが、現実的には、投票の集計時間中に、CEO or 取締役会議長が、きちんと報告するのが慣行になっていますから問題はないのかもしれませんね。

アクセス中インプラント

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