まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

のれんの処理方法は早く統一を

2008-02-14 23:49:07 | 企業一般

  のれんに関する規定は、会社計算規則第二編第二章第二節の11条以下(連結BSの場合は116条)にありますね。会社が資産又は負債としてのれんを計上できるのは、吸収合併、吸収分割、株式交換、新設合併、新設分割、株式移転及び事業の譲り受けの場合だけですね。

○  合併などの企業再編(企業結合)に関する会計処理方法は、パーチェス法と持分プーリング法の2種類ですね。

・  プーリング法は、厳格な条件を満たした場合、受入資産を簿価で引き継ぐことを認めましょう。これを税法上の適格合併にしましょうという場合の処理方法ですね。

         一方、大多数の場合は、パーチェス法ですね。例えば、吸収合併の場合存続会社が消滅会社から、資産・負債を引き継ぎます。即ち、買収企業(部門)が被買収企業(部門)を、取得(買収)したとされる場合に適用され、被買収企業の資産・負債を時価で購入(パーチェス)するものですね。この場合、純資産(承継資産マイナス承継負債)と購入価額との間に通常差額が発生しますが、この差額(=購入価額-純資産)がプラスならのれん、マイナスなら「負ののれん」が発生しますね。プラスの場合は、その差額は無形財産として資産に計上されますね。マイナスの場合(買収時価総額が純資産よりも小さければ)は、「負ののれん」として、当該金額が負債として計上されますね。

○  問題は、この「のれん」の会計上の処理方法が、たびたび変更されて来ており、しかも企業のM&A戦略に大きな影響を与えるということですね。即ち、償却資産か非償却資産かどちらになるかにより企業財務に大きな影響を与えるということですね。

  欧米(欧州のIFRSUSGAAP)では、非償却資産ですね。この場合は、のれんの持つ価値・収益力が失われたと判断された時点で減損処理することとされています。この方式ではM$Aを繰り返す企業のBSには、巨額ののれんが計上されて、ROAが悪化します。また収益力がないと判断されたときに、巨額の減損処理が生じますね。

         現在の日本での連結会計処理方法は、紆余曲折を経て、

のれんの価値が継続すると考えられる期間(20年以内)にわたり規則的に償却し、各期の償却額は販管費として計上することになりました。尚、単体では耐用年数省令で営業権は5年償却と相変わらず書いていますが。

○ 米国でも、昔は償却資産でした。時価ベース純資産を超過する買収価格の部分をPositive Goodwillとし、40年以内(償却年限は各企業の会計方針で決定)に規則的に償却して、Amortization expense of goodwillを認識するとしていました。(但し、米国は日本の様な確定決算主義ではなく、税務会計と財務会計は別ですので、税務上は損金とはなりませんでした。)

         日本では、会社法上の営業権(=のれん)とは、企業活動が有機的一体となって生み出す無形の財産的価値とか、得意先関係や営業上の秘訣等、営業活動で蓄積した事実関係等と言われていましたが、法律上は有償で譲り受け(営業譲渡等)または合併によって取得した場合に限ってBS(単体)の資産の部に取得価額で計上することができ、5年以内、毎決算期において均等額以上の償却をしなければならないとしていました(旧商法285条の7)。資産として不確実なので債権者保護のため5年償却とされていましたね。(償却費は税務上の損金算入可)。但し、米国の猿まねをして導入した連結財務諸表原則では、20年以内に償却するよう定められていましたので、考え方が統一されていなかったと言いますか、相変わらず思想が無い状態でしたね。ということで、またまねをして20年以内、でも償却資産として残しておこうという中途半端な処理となったのですね。

・ しかし、企業を買収して連結のれんを計上した際、特別損失として一括償却する企業もでてきました。のれんの効果が持続しているのにおかしいという意見もあり、現在では販管費の中で継続的に償却ということになりました。従い、1年で一括償却は基本的には駄目で、のれんの価値の持続を測定した上で、合理的根拠をもって、最大20年以内最短2年で償却ということになったわけですね。

○  ポリシーの無い日本も、企業は世界中で活動していますし、まあやむを得ないでしょうが、国際会計基準に鞘当てすることになりましたね。即ち、日本の企業会計基準委員会は、国際会計基準審議会(IFRS)と協同で、2011 年までに会計基準のコンバージェンスに向けた継続的な取組みを行い、まずIFRSs と日本基準間の主要な差異を2008 年までに解消し、残りの差異を2011 年6 月30 日までに取り除くという共有された目標ももって検討しています。

◎ まあ、M&A関係者、企業関係者にとっては、ころころ変わってはなはだ迷惑ということですね。継続性の原則という言葉もどこかに書いてありましたが、企業会計基準委員会の人はお忘れになっているのでしょうかね。もう早く決めてよねーという感じですね。

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