まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

会社法の悪しき特徴

2007-08-23 09:38:47 | 商事法務

会社法を読んでいると、ちょっとおかしいのではないかと疑問に感じる点、こんな書き方をしなくても良いのではないかとか、どこまできちんと検討したのかと言う箇所が多いですね。ということで、それらの点を書いてみたいと思います。即ち、会社法の悪い特徴等を列挙したいと思います

       会社の実態、現実をどこまできちんと調査・検討した上で、会社法の現代化を検討したのか疑問。=法務省の担当者の方は、優秀で真面目かもしれませんが、基本動作、即ち、日本の会社の実態、各種機関の機能の程度、経営者支配の現実、募集株式発行の現状・機能等を、会社法改正のときに、どれだけ調査・研究したのですか。特別取締役制度等全くピントがぼけていますね。現場・現実の調査・分析・検討は基本動作です。法務省の役所の中の会議室だけで、会社法を作るものではありません。

       現実を踏まえて、望ましい会社法とはどうあるべきか、十分に検討したのか疑問。=例えば、無機能化している監査役(会)対策として、米国で一般的に委員会設置会社の形式だけをまねたり、米国SOX法のまねをして内部統制を導入したりと、その場しのぎ対策にばかり追われている感じです。ドイツの共同決定法、監査制度のありかたとか基本に立ち返って、どういった制度を作っていくのか検討したのでしょうか?

日本発で、海外の諸国も日本の会社法を見習うような制度を作る気概はないのでしょうか?

       海外、主として米国の制度・州会社法などの制度を導入しているが、日本への移植が適切か十分に検討したか疑問。=買収防衛策、内部統制、委員会設置会社等は、米国の猿まねです。米国では、別に三委員会だけある訳ではありません。殆どの会社が三委員会(報酬、指名、監査)はありますが、それ以外の種々の委員会があります。また社外役員制度も導入していますが、日本でキチンと機能するか、種々検討したのでしょうか。トヨタ等純血主義を貫いています(法令で遵守すべき社外役員は選任していますが)。

       原理原則をしっかり検討して、それに従って会社法を制定したのか疑問。原理が異なる規定を平気で入れている。=例えば株主平等原則の規定(109条)のところに、いきなり人的会社の要素を持ち込み不平等OKの規定を入れたりして、一体どういう考えに基づいて入れたのですか。有限会社法に規定があったので、何も考えずに入れたのですか。これじゃ、今度の会社法は総花的で、思想も無く原理原則無視じゃないですか。

       理屈・理論で考えられる規定を盛り込んでいるが、現実的にはまず考えられない規定を盛り込んでいる。いたずらに複雑にして重複的規定をふんだんに入れて、難解にしている。=例えば、組織再編制度を、大幅に横断化しました。縦横の横断だけならまだしも、斜めの横断まで可能にする必要がどこにあるのですか。こんな規定は無駄です。株式会社と持分会社間の組織変更を可能にしておけば良いのです。まず、持分会社を株式会社に組織変更(横の横断)してから組織再編(縦の横断)をすれば良いのです。複雑怪奇で、現実的にはまず考えられない規定など設ける必要はありません。会社法は、数学の順列・組合せ的な発想で規定するものではありません。

       当事者の自治を重視する姿勢かもしれないが、秩序を作るという基本的姿勢が欠如している。=例えば、会社の類型は20種類あります。それに会計参与を任意で設置できます。なぜ、理論的に考えれば、考え方がわかれば自然に分かるようにしないのですか。定款自治の拡大といっても、とうちゃん・かあちゃん会社から上場している大企業まで、会社はいろいろです。大会社の分類は残りましたが、小・中会社の分類は消えました。資本金・負債総額という単純な分類で良いのかの点もありますが、大・中・小、株式全部譲渡制限会社(公開会社でない会社)・公開会社ぐらいの切り口で、秩序だった類型を作って欲しかったという感じです。

       技巧的な規定が多く、考え方・それに盛り込まれた思想が分からない。=例えば、会社計算規則74条(株式会社の設立時の株主資本) では、「--株式会社を設立する場合における株式会社の設立時に行う株式の発行に係る法445条1項に規定する株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とは、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。」と記載あります。「零未満である場合にあっては、零」とはなんなんですか。設立時から債務超過であってもやむを得ない、その場合は資本金ゼロで良いですということです。計算式上はそうなるのでしょう。でも、こんなあり得ない規定をどうして定めるのですか?

会社法って、何の重厚さも感じられないし、読めば読むほど、頭に来ますね!!

コメント
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