まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

M&Aは何故失敗が多いか

2007-07-01 20:28:06 | M&A

     M&Aが相変わらず増加しています。日本企業の関係するM&Aの件数については、M&A仲介会社の(株)レコフが統計をとっています。06(1-12)は、2775件だったとのことです。事業拡大、相乗効果のある分野への進出、生き残りの為の統合、グローバル化等いろいろ理由がありますが、相変わらず失敗が多いですね。

     松下電器は、9011月に米国のMCA社(映画部門はユニバーサルピクチャー)を61億ドル(7800億円)で買収しました。しかし954月に株式の80%をカナダの飲料メーカのシーグラム社に売却しました。失敗の原因は、自由な経営(テレビ会社へのM&Aの自由等)を求めるMCA経営陣と、松下とのコントロールとの間に軋轢があったとされています。責任者の、平田副社長は責任をとって平取に降格されたと記憶しています。その後保有分の20%は増資で希釈化し7.66%となり、06年に売却し提携を解消しました。

     NTTドコモは、98年から01年にかけて、海外の電話事業者に盛んに資本参加しました。総額19000億円ぐらいつかったでしょうか。どれぐらいのお金が消えたのでしょうか1兆数千億円ぐらいでしょうか。そのとき社長さんだった立川敬二さんは現在JAXA=宇宙航空研究開発機構の理事長です。これ程日本のお金を海外に捨てた経営者もいませんね。責任どうなっているのでしょうか?

     DaimlerChrysler ? 98年のビッグM&Aですね。世紀の統合と言われましたね。 今年ついに統合が破綻しました。クライスラーは投資ファンドのCerberusが買収します。投資ファンドが、メーカ経営できるのですかね。Hybrid車、環境、安全等莫大な、優秀な頭脳・お金がかかりますね。

       過去に行われたM&Aでは、6割が失敗、2-3割は泣かず飛ばず、1-2割は成功と言われています。まあ、何が失敗なのか、失敗の定義も難しいですけど。M&Aを数多くこなし、殆ど失敗の無い会社というか、企業価値をどんどん上げている企業があります。日本電産です。先日(4月)も、日立から日本サーボを買収しました。社長は有名な永守重信さんですね。りっぱな経営者だと思います。

○ では、M&Aの失敗の原因は、どんなところにあるのでしょうか?勿論、原因は一つでなくて通常は複合的な原因があります。

① M&Aの対象会社は、一般的に業績が良くない。―買収できる会社は一般的に業績が悪いですね。当たり前ですね。業績の良い会社は買収できません。そうかといって何でも悪いわけではありません。いくつかいい点があります。改善すればとか自分の事業と会わせれば回復すると考えるわけですね。業績が何故悪いのか、製品力か、経営者か、営業力か、どのように改善しようとするのか、改善できる可能性はあるのか、そういった点を買収詳細調査でよく調べましょう。

       役職員のモラルが低下している。―例えば、オーナが会社の利益を個人のポケット(個人の別資産管理会社)に入れている。従業員は、給料分だけ面従腹背で働いている。オーナを見ているので、他幹部とか支店長が、会社の金をねこばばしたり、かすめていたりします。買収企業から派遣の経営陣は、被買収企業の従業員にとっては、進駐軍です。どうせ買収者が食い物にするのでは、自分はどうなるのか等と考えている従業員のモラルアップは容易ではありません。

       相乗効果があると思ったが、なかった、あるいは発揮できなかった。―買収者は、自分の資源と組み合わせて相互補完・相乗効果を発揮しようとします。でも違う事業は手法・文化・発想が異なる場合もあります。また当初は相乗効果が確かにあると考えていたが発揮できない(松下電器のMCA買収等)ことも多いですね。

   

       送り込まれた経営陣に経営能力がなかった。―進駐軍にとり重要なことがあります。進駐軍は最少にすべきです。被買収会社の人・資源を尊重、悪いところを改善ということで、買収先企業の自己回復・成長能力を引き出すことです。買収先を経営する経営者は、実は大変なんです。ふんぞりかえって、親会社風を吹かせていたら、もう駄目ですね。

       企業文化が異なり、すれ違いばかり発生する。―会社が異なれば、行動様式も違います。考え方も違います。文化が違います。相性も大事ですね。違いを認めて共に成長するというのは現実には結構骨の折れることなんですね。

       親会社が、買収先の経営をコントロールしようとした。―親会社が、自分の流儀を押しつける事があります。グループ規則、権限も全部取り上げ親会社伺い。昔の中国の国有企業みたいにお上から言われたことしかやらなくなります。当然将来性は無くなります。

まあ他にもいろいろ原因はあると思いますが、思いついたことを書きました。

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