まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

楽天の片思い

2007-06-20 00:12:38 | M&A

楽天vs.TBS(東京放送)の件について感想です。

【楽天の攻め方について】

     HOYAPENTAXの件では、例のごたごたで信頼関係が大きき毀損されました。これの修復は簡単ではありません。楽天vs.TBSの件では、楽天は黙ってTBSの株式を取得しました。こんなやり方では、最初から信頼関係を築こうとする姿勢がありません。共同事業・業務提携の重要な基礎は信頼関係の構築と相手に対する謙虚な姿勢です。金の力に任せた腕力でどうして、会社や人が動くのですか?今から信頼関係を築くのはもう無理ですね。

・ それにしても楽天は日本の企業社会の風土・既存秩序を無視したやり方をしましたね。TBSに無断で株式を買い占めたこと。事業提携するなら、まず業務提携の提案から進めて、合弁会社を設立などして、共同で事業を進める。お互い安定株主となろう。相互持ち合いをしよう。即ち信頼できる友達関係になって始めて、一方的ではなく相互の資本提携というのが、まだ日本の常識ですね。

     TBSの株主・持株比率をきちんと分析して、自分の行動に賛同しうる可能性のある株主・株式比率、それと逆に会社側の安定株主比率を見極めてから株式購入をしなかったのでしょうかね。勿論楽天の株式取得が判明してから、会社側シンパの安定株主対策を考慮に入れないといけませんが。

・ 同じ様な事は昔もありました。1996年ソフトバンクが、オーストラリアのメディア王ルパート・マードック氏が率いるNews Corp.と合弁会社を設立し、間接的に全国朝日放送(テレビ朝日)に資本参加するといいました。この件うまく行きましたっけ。当然うまく行きませんでしたね。

・ 三木谷さんは、片思いをしたことないのですかね。片思いはうまく行きませんね。委任状争奪戦で、過半数の議決権をTBS側が確保したことが報道されています。取引先や金融機関がTBS側についたと報道されています。

     まだまだ日本では敵対的買収は受け入れられませんね。楽天は、総会で、①取締役2名の普通決議による選任と②買収防衛策の定款への記載の特別決議承認を求めています。

TBSの定款には、取締役選任について、日本の会社定款で一般的な累積投票の排除を規定しています。従い、取締役選任決議も否決されますね。仮になっても当然過半数はTBS側指名の取締役が選任されますし、2人が取締役になっても彼らの提案が通る訳ないですね。進駐軍の社外取締役になっても、多勢に無勢何も出来ません。四面楚歌ですね。また買収防衛策も会社提案が普通決議で承認されるでしょう。楽天は、定款に規定していない買収防衛策は、会社法(295条)違反として、決議取消又は無効確認訴訟を起こすのですかね。

TBS側の対応について】

○ まあ、TBS「企業価値評価特別委員会」という買収防衛策発動を審査する委員会もいんちきですね。会社側が指名して、おそらくそれなりの報酬を会社側からもらう委員など、独立性はありません。やらせの茶番劇組織ですね。事業の機微、技術的知見、新規ビジネスクリエーション力について経験も知識も無い人を委員に任命して、企業価値をアップさせる買収者か毀損する買収者かを判断するというものおかしな話ですね。新聞社の社長、石油会社の会長、元銀行&現郵政の社長、弁護士、公認会計士&法科大学院教授が、どうして通信・放送事業の会社の企業価値を審査する資格・適格性と見識があるのですか?結論は見え見えです。

・ 2005.5.27の経済産業省・企業価値研究会の「企業価値報告書」・経済産業省・法務省の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」もちょっと欠陥レポートですね。株式を敵対的買収者に売却するのも株主の意思ですが、その売却株主の分析が全くされていません。会社法施行規則127(株式会社の支配に関する基本方針)は、この報告書と指針を規則にしたものですね。

  

・ 買収防衛策は、発動された場合、敵対的買収者だけ、その他一般株主と異なる扱いをします。これって株主平等に反していませんか?この点どの様に考えれば良いのでしょう?会社法247条の募集新株予約権の発行をやめることの請求について、「発行が著しく不公正な方法により行われる場合」をどの様に考えるかの問題でしょうか。

     TBSは敵対的買収者(=濫用的買収者)の定義を買収防衛策に規定しています。7つの類型を定めています。これを読むと、楽天は濫用的買収者に該当しないとも読めますね。大半は(①から⑤まで)ライブドアvs.ニッポン放送の東京高裁決定の4つのケースですね。それに⑥に「放送事業者としての公共的使命に照らし不適切」最後の⑦に「その他当社の企業価値の維持・向上を妨げるおそれのある者又は放送事業者としての公正性ないし中立性確保の観点から問題があると疑われる者」としています。ハニカミ王子に盗聴工作する会社が偉そうなこと言ってますね。⑥など自分の会社の事言っているのですかね。ところで委員会は楽天は⑥or⑦に該当すると結論を出すのでしょうね。

http://www.tbs.co.jp/company/img4/ketugituuti80.pdf

【結論】

○ 楽天は、どれだけお金をつぎ込んだのでしょう。1000億円ぐらいでしょうか。これからどうするのですかね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする