まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

ペンタックスとHOYAとの統合迷走―その②

2007-04-15 00:44:06 | 企業一般

・どういう訳か、私のブログへのアクセスが急に増えました。ということで調子に乗って、その②として続きを少し書いてみたいと思います。

     HOYA410日の発表文によると、「ペンタックスの一部株主の状況及び第三者との契約関係の状況等を考慮して、合併は困難と判断した。これの代替的方法として、TOBを検討したいとしています」。一部株主の状況というのはよくわかりませんが、合併比率ペンタックス株式1株につき、HOYA株式0.158株という比率に不満をもつペンタックスの複数の有力株主がいると言うことかも知れません、契約関係と言われても、事情を知らない者には分かりません。代表取締役が解職されたからとも書けませんし、ペンタックス側も表面的には基本合意を守っている形になっているのでしょう。

○ 状況については、以下の様ですね

・ 両社のトップが来週半ばにも会談する見通し。

      HOYAはペンタックスに対して11日にTOBを受け入れるかどうかを問いただす質問状を送付したが、13日にペンタックスが「経営統合は今後とも検討を進める」と回答。

      TOBではペンタックス株の買取価格は1株770円で、6月下旬ぐらいから実施予定。

     HOYATOB:

     TOBというのは、金の力でペンタックスの株主から株式を購入して、自分の軍門に下らせるものです。ペンタックスの現経営陣にとっては、不愉快な事かもしれません。なにしろ腕力(金力)を見せつけられるというか、札束で頬をたたかれた上で、株主に蒔かれてしまいます、TOBがうまく行けば、HOYAが経営支配権を取ります。その時、現経営陣は解任される可能性がありますね。解任は総会の普通決議で出来るようになりましたしね。まあ、せいぜい現在の任期で終了かもしれません。

     子会社にして、その後株式交換で、文句のある株主を追い払って(支配服従関係である)100%子会社化して、無増資の親子合併でも考えているのかもしれません。こういう方式では、統合の効果が減殺されます。1+1=1.5以下にしかなりかねません。1+1=3以上の目指さないといけません。

・ドライなやり方です。確かに半導体業界で鍛えられていますからね。また、社外取締役という、いやになったら逃げられる立場の人は、合理的・理詰めで考えるのかもしれません。IBMの椎名さんは当然米国的な発想でしょうし、キッコーマンの茂木さんは、日本人の米国大学院MBAの走りの人です。日産の塙氏は、ルノーに日産を売った人、リクルートのばりばりのやり手の河野さん。先進的というか米国の悪影響を一杯受けている元通産省出身の児玉さんもいますからね。

     ペンタックスの対応

     ペンタックス側は、混乱でHOYAとの約束が守れないので、多少後ろめたいでしょうね(公表文以外の、基本合意の内容がどういったものかは知りませんし。法律的拘束力を持った文言になっていたのか、あるいは拘束力があっても事情変更の条項なども入っていたのか勿論私は知りませんが)、しかし、HOYATOBをしてまで、ペンタックスを欲しがっています。つまり、ペンタックスは強みを持っているのです。ペンタックスの経営陣は、これうまく逆手にとってHOYAに対する交渉力の向上に繋げないといけません。

     押されっぱなしのペンタックスですが、HOYA側を攻める材料を見つけるべきです。12.21基本合意発表文の8には、「やむをえない状況が生じた場合は、両社協議の上、日程又は統合形態の変更により、両社の経営統合の実現を目指します」としています。やむをえない状況を生じさせたのはペンタックス側かもしれませんが、「両社協議の上、統合形態の変更」と記載有ります。TOBについて、両社協議したのですか?一方的にTOBを検討すると表明しているのはHOYAではないのですか。協議もきちんとせずに、TOBを受け入れるか返答しろとは、横柄・傲慢なやり方です。本来なら決まるまで秘密裏にしないといけないのに、もうマスコミに見られっぱなしです。

     ペンタックスの現経営陣は、HOYAに速やかに逆提案をすべきです。反撃です。先に私が言いました、株式移転等もアイデアだと思います。両社共同で株式移転計画を作成してはどうでしょうか?先の合併比率に拘束されると、ペンタックスの株主の株式移転設立完全親会社の持分・持株が薄くなりますから、比率の調整をする必要があるかもしれません。TOBに賛成してこれが成功すれば、現役員は退任です。現役員にとって重要なのは、反撃・攻撃です。出来るだけ、ペンタックスに有利な条件を、自分の保身では無く、従業員の為にHOYAから引き出すことです。

     株主の一部が企業価値向上の代替案とかと言っているようですが、まあ、ペンタックスがどうなろうが自分の利益を追求するファンドですからね。ペンタックスの今の従業員が統合によってハッピーになれる案とは何か、それの方が重要です。ファンドも一応株主などで無視できませんが、ファンドが30%持っているとして、後の70%は事業会社や一般株主ですね。全部は無理ですが多くの株主の支持を集める代替案を示す必要があると思います。また、広報対応も重要ですね。ペンタックスの積極性を対外的にもきちんと示すことも必要です。

     統合すればペンタックスの従業員にとっては、労働強化になるでしょう。しかし、日本電産に買収された会社を研究してみてはどうでしょう。どんどん復活しています。元気になっています。従業員のやる気がどんどん出てきているようです。

     ペンタックスの新社長と社長を選定した役員にとって、従業員が元気になる。そうすれば即ち企業価値が向上する。企業価値が向上すれば株主もハッピーになる。そういった統合の方式を知恵を出して、逆にHOYAにぶつけて欲しいと思います。

コメント
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