ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

1人乗り電動1輪車を実用化するホンダは魅力ある製品を実用化する企業です

2012年05月17日 | イノベーション
 2012年5月15日にホンダ(本田技研工業)は、1人乗りの電動1輪車「UNI-CUB」(ユニカブ)を開発し、6月から実証実験を始めると発表した記事が各新聞紙に掲載されました。

 この電動1輪車「UNI-CUB」は、乗った人間の体重移動に伴う座面の傾きや速さに応じて、前後左右に移動したり、旋回したりします。人間が歩く速さと同じくらいで前進し、最高速度は時速6キロメートルです。

 足置きを除いた外形寸法は全長520×全幅345×全高745ミリメートルです。リチウムイオン2次電池を搭載し、1回の充電当たりの航続距離は6キロメートルです。





 ホンダは“1次元の移動手段”として、都市空間の移動手段を狙っています。今回開発した「UNI-CUB」は、屋内の段差が少ないバリアフリー空間での移動を対象にしています。

 ホンダは従来の乗用車や2輪車を“2次元の移動手段”と考え、“1次元”と“3次元”の移動手段を新規事業としてバランスをとる戦略です。ここでいう“3次元の移動手段”とは、航空機です。ホンダの航空機事業子会社であるHonda Aircraft社(HACI)は2012年5月13日に、小型ビジネスジェット機「HondaJet」の飛行試験用量産型4号機を初飛行させたばかりです。



 将来、乗用車と2輪車事業が苦境に陥っても、“1次元”と“3次元”の移動手段の事業が新しい事業として、ホンダを支える可能性があります。自動車は成熟商品です。大手電機メーカーのテレビが成熟商品化し、事業モデルを再構築する時期に入ったことを忘れてはなりません。

 今回の電動1輪車「UNI-CUB」は、前後左右に駆動力を与える大径車輪の後ろに、左右だけの駆動力を与える補助輪を付け加えてあります。ほぼ停まった状態で、補助輪を動かすと、その場で旋回できる仕組みです。人と話すときにその場で振り向きたいといった状況に対応できる。

 今回の開発品は、スマートフォン(高機能携帯電話機)のタッチパネルで移動したい向きを指示できるように工夫しています。スマートフォンにUNI-CUB制御用のアプリケーションを搭載し、無線通信で車体に指示信号を送る仕組みです。アプリケーション画面には十字が描かれており、指を触れた位置に応じて車体の進行方向や速度を指示できるすです。



 ホンダは2足歩行ロボットの実用化を目指すなど、魅力ある商品を事業化し続けている点で、日本の企業としては優等生です。自分たちが開発したいものを好きで事業化しているようにみえながら、結構、理屈がある事業戦略を実践している点がエクセレントカンパニーたる由縁です。

 同様なものを目指している点では、トヨタ自動車も“1次元”と“3次元”の移動手段を新規事業と考えています。