ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

シャープが2012年6月にロボット掃除機市場に参入する狙いを考えました

2012年05月11日 | イノベーション
 シャープは2012年6月上旬にロボット掃除機「COCOROBO」(ココロボ)を発売すると発表しました。
 
 このCOCOROBOは、人工知能や音声認識機能、スマートフォン(高機能携帯電話機)との連携機能などを多彩に搭載しています。一種の“愛玩ロボット”として、人とコミュニケーションする機能を搭載している点が売り物になっています。



 「きれいにして」と呼びかけると、COCOROBOは「分かった」と音声で返事をして掃除を始めるそうです。小型カメラを搭載しているので、外出先から自宅の部屋の様子を見ることができるそうです。こうした機能は、“クラウド”と呼ばれる高度なIT(情報技術)を活用する家電製品の先駆け製品とみられています。

 COCOROBOはフル機能付きで販売価格は約13万円と予想されています。機能が簡略されたものの販売価格は約9万円と見込まれています。掃除機としてはかなり高価なものですが、“愛玩ロボット”としての付加価値で売り込みを図るもようです。

 東芝も2011年10月1日からロボット掃除機「SmarbVC-RB100」を発売しています。



 円盤形状のロボット掃除機といえば、米国iRobot Corporation(アイロボット・コーポレーション)の「Roomba」(ルンバ)がすぐ頭に浮かびます。



 iRobot社は軍事用や業務用、家庭用の先進的なロボットを開発するベンチャー企業です。売上の中心は軍事用ロボットといわれていますが、事業収益を確保するために、2002年にロボット掃除機「Roomba」を発売し、合計200万台以上販売されたといわれています。かなり苦労してロボット掃除機の事業を育てました。

 iRobot社は、米MIT(マサチューセッツ工科大学)のMIT人工知能研究所で働いていた研究者3人が1990年に創業したベンチャー企業です。創業22年の“老舗”のベンチャー企業です。

 液晶テレビ事業などが不振なシャープは、事業収益を確保するために、高付加価値な家電製品の販売に力を入れる方針のようです。比較的単純な家電製品は東南アジアや中国、韓国などの電機メーカーにかなわないので、ハイテク技術を駆使する高付加価値家電に特化するようです。

 米国のベンチャー企業が築いたロボット掃除機市場は、高機能なハイテク技術が生かせると判断し、ある程度のニッチェ市場を確保し、事業収益を確保する戦術です。米国企業が開発した新ジャンルの製品・市場を日本企業が量産化で狙うという点では、1970年代の製品開発モデルに戻ったともいえます。

 米国のベンチャー企業というと、事業に成功して大儲けしていると思われがちですが、iRobot社は長年赤字に悩んでいます。やっとロボット掃除機で事業収益を上げたと思ったら、日本企業が参入して来ました。

 日本企業の方は「韓国や台湾、中国などの企業がすぐマネして参入してくる」と不満を漏らしますが、市場での製品競合はどんな場合も厳しいものです。ロボット掃除機市場で、日本メーカーが成功し、それをみて韓国メーカーが参入してきた場合はどうコメントするのでしょうか。