![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/f5/f3fa430a4a5471195653d7da12223ca1.jpg)
AFTER RAIN ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
1996年 ウィリアム・トレヴァー
大好きなトレヴァーの短篇集だったので、いそいそと手に取り読んでみました。
が、もちろんトレヴァー独特の世界観が漂っているとは言え
少し違和感を感じた一冊でした。
トレヴァーの作品が、ハッピーなものでないことはじゅうじゅう承知しています。
でも今まで読んだものより、あえて不幸の要素を盛り込もうとしているとしている、
と言うか、解り易い不幸のネタが垣間見えるというか…上手く説明できないんですけど。
今までの短篇集同様12話から構成されています。
好きだった物語をご紹介します。
『ピアノ調律師の妻たち(The Piano Tuner's Wives)』![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp02.gif)
目の悪いピアノ調律師ドロムグールドは、妻ベルタを亡くしバイオレットと再婚します。
バイオレットは若い頃にドロムグールドに見捨てられてからずっと独身を通していました。
二人はいたわり合って暮らしますが、バイオレットは全てにベルタの影を見てしまいます。
何十年も側に居て、一緒に年老いてきた前妻の影を消し去ろうとしても…
いっそ開き直ってしまった方がいいですよね、前妻より完璧にこなそうとしないで。
でも言うは易し… 気持ちはよくわかります。
『未亡人姉妹(Widows)』![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp02.gif)
マシューを亡くしたキャサリンは姉のアリシアとの二人の生活をスタートさせます。
アリシアは不幸な結婚生活の末未亡人になり、キャサリン夫妻の家で暮らしていました。
しばらくしてペンキ屋のラーリィが代金を請求に来ますが
その代金はキャサリンが生前マシューに渡していました。
姉妹とはいえ、まったく結婚観が違うふたりのお話しです。
三人では上手くいっていたことが一人欠けることによって違ってきてしまう、ということは
あるかもしれないですね。
イニシアティブをどちらがとっていくのか、今後が気になるお話しです。
『馬鈴薯仲買人(The Potate Dealer)』![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp02.gif)
エリーの伯父は、馬鈴薯仲買人モーリビーに金を払ってエリーと結婚させることにします。
彼女は一夏だけやってきた巡回司祭の子どもを身ごもっていました。
ふたりは結婚し、世間体は保たれましたが、娘が10歳になった時
エリーが娘に真実を告げたいと言い出します。
まったくもってエリーという女性が不可解な物語で、私は真剣にモーリビーに同情します。
もともと愛がある結婚ではなかったけれど、最低限の礼儀はあって然るべきでは?
と、私が怒っても仕方がないんですけどね。
今までと何処が違う? と問われれば…そうですねぇ、アイルランド感が薄いのかしら?
独特の宗教感やイギリスへの抵抗など、アイルランドならではの題材は影を潜め
身近な問題をテーマにしたものが多いような気がします。
例えば、同性愛とかダブル不倫とか強盗、精神的な病、夫の浮気、年の差婚…
つまり舞台はどこであってもいいわけですよね。
トレヴァーらしくないトレヴァーの物語と言ってもいいかもしれません。
あくまでもファンとしての言い分に過ぎませんが…
それでもトレヴァーならではの雰囲気を持った一冊で、決して嫌いなわけではないです。
むしろ好きですよ、ただ慣れていないっていう感じ。
好き嫌いは別にして、確固たるものに築き上げてきたトレヴァー的な世界観の根本を
自ら打破して新しい世界を築こうとする野心と気力に頭が下がります。
滋味広がる短篇集
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね
![](http://ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=4779114098&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=marifle1010-22)
![](http://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=marifle1010-22&l=as2&o=9&a=4779114098)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
1996年 ウィリアム・トレヴァー
大好きなトレヴァーの短篇集だったので、いそいそと手に取り読んでみました。
が、もちろんトレヴァー独特の世界観が漂っているとは言え
少し違和感を感じた一冊でした。
トレヴァーの作品が、ハッピーなものでないことはじゅうじゅう承知しています。
でも今まで読んだものより、あえて不幸の要素を盛り込もうとしているとしている、
と言うか、解り易い不幸のネタが垣間見えるというか…上手く説明できないんですけど。
今までの短篇集同様12話から構成されています。
好きだった物語をご紹介します。
『ピアノ調律師の妻たち(The Piano Tuner's Wives)』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp02.gif)
目の悪いピアノ調律師ドロムグールドは、妻ベルタを亡くしバイオレットと再婚します。
バイオレットは若い頃にドロムグールドに見捨てられてからずっと独身を通していました。
二人はいたわり合って暮らしますが、バイオレットは全てにベルタの影を見てしまいます。
何十年も側に居て、一緒に年老いてきた前妻の影を消し去ろうとしても…
いっそ開き直ってしまった方がいいですよね、前妻より完璧にこなそうとしないで。
でも言うは易し… 気持ちはよくわかります。
『未亡人姉妹(Widows)』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp02.gif)
マシューを亡くしたキャサリンは姉のアリシアとの二人の生活をスタートさせます。
アリシアは不幸な結婚生活の末未亡人になり、キャサリン夫妻の家で暮らしていました。
しばらくしてペンキ屋のラーリィが代金を請求に来ますが
その代金はキャサリンが生前マシューに渡していました。
姉妹とはいえ、まったく結婚観が違うふたりのお話しです。
三人では上手くいっていたことが一人欠けることによって違ってきてしまう、ということは
あるかもしれないですね。
イニシアティブをどちらがとっていくのか、今後が気になるお話しです。
『馬鈴薯仲買人(The Potate Dealer)』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/gp02.gif)
エリーの伯父は、馬鈴薯仲買人モーリビーに金を払ってエリーと結婚させることにします。
彼女は一夏だけやってきた巡回司祭の子どもを身ごもっていました。
ふたりは結婚し、世間体は保たれましたが、娘が10歳になった時
エリーが娘に真実を告げたいと言い出します。
まったくもってエリーという女性が不可解な物語で、私は真剣にモーリビーに同情します。
もともと愛がある結婚ではなかったけれど、最低限の礼儀はあって然るべきでは?
と、私が怒っても仕方がないんですけどね。
今までと何処が違う? と問われれば…そうですねぇ、アイルランド感が薄いのかしら?
独特の宗教感やイギリスへの抵抗など、アイルランドならではの題材は影を潜め
身近な問題をテーマにしたものが多いような気がします。
例えば、同性愛とかダブル不倫とか強盗、精神的な病、夫の浮気、年の差婚…
つまり舞台はどこであってもいいわけですよね。
トレヴァーらしくないトレヴァーの物語と言ってもいいかもしれません。
あくまでもファンとしての言い分に過ぎませんが…
それでもトレヴァーならではの雰囲気を持った一冊で、決して嫌いなわけではないです。
むしろ好きですよ、ただ慣れていないっていう感じ。
好き嫌いは別にして、確固たるものに築き上げてきたトレヴァー的な世界観の根本を
自ら打破して新しい世界を築こうとする野心と気力に頭が下がります。
滋味広がる短篇集
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね