まりっぺのお気楽読書

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『アメリカ短編小説傑作選 2000』世の中は問題山積なのね

2013-03-14 03:14:54 | アメリカの作家
THE BEST AMERICAN SHORT STORIES 2000 
2000年

なんで今頃2000年の傑作選か… と言いますと、本棚で見つけちゃったから。
読んだ覚えが無いので読み返してみました。

現実的でしんみり、あるいはのんびりした、解り易~い物語好きの私ですが
若い頃はこういうのが好きだったんでしょうね?

ありきたりな恋愛小説や家族のいい話を書くのはやめましょう!という
作家の意気込みが感じられる一冊です。

評論家やコメンテイターとは違った角度から社会問題に切り込んでるっていう感じかしら?
傑作選ですから面白くないわけではありません。
ただ、どの話も大小さまざまな問題を孕んでいて疲れちゃうのよ。

問題はあれど好きだったお話しをいくつかあげてみます。

『フラワー・チルドレン(Flower Children)/マキシン・スワン』
子供たちは好きな時に、野山、牧場、沼地などをかけまわり、自由に育っていました。
しかし麻薬常用者だった父さんは他の女のもとへ行き、同じく麻薬常用者の母さんは
ボーイフレンドを連れてくるようになります。

最初は、自然って子供たちにとってなんていい環境なんでしょ!と思いながら
読んでいたんですけど、自由に、というより放任なのね。
子供たちは学校に行くようになって規則を身につける機会が訪れますけど
親にはもうそんな機会はないわけで… 子供たちにエールを送るしかありません。

『共同戦線(Unified Front)/アントーニャ・ネルソン』
ジェイコブとシーシーはフロリダのテーマパークを訪れています。
シーシーは、ずっと子だくさんの一家の双子の後を追いかけ回しています。
ついに両親がアトラクションに入り、子どもだけが残された瞬間が訪れました。

もとは夫の不倫から始まり、相手の子供が死んでしまったりして
シーシーは子供が欲しいという思いに取り憑かれてしまっているようです。
気持はわからないでもないが、肯定するかと聞かれればNoですね。
しかしこのご時世、子どもだけを残していなくなっちゃうのはどうかと思うよ。

『家族の絆(Welding with Children)/ティム・ガトロー』
家内がカジノに行く日、四人の未婚の娘たちが子供をひとりづつ預けて行きました。
幼い子供たちが良くない言葉を使い、母親のボーイフレンドの事を話します。
気を取り直して聖書を読んでやると、口を挟んで内容をめちゃくちゃにしてしまいました。

おじいちゃんは大変だし、近所の目も気になりましょうが、なんかいい話なのよね。
悪戦苦闘しながら食事を与えるおじいちゃんと、小さな手と口を動かす四人の孫たちの
あーでもない、こーでもない、という場面を思い浮かべると自然と顔がほころびます。

問題は他にもいろいろ目白押しですよ。
親が犯した罪、宗教社会のイニシアティブ争いに巻き込まれる親、妻と娘の家出、
自分の不倫に親の不倫、娘の里帰り… まだまだ続く… もう書かないけどね。

自分の身にふりかからなければどうでもいいようなことから社会問題、病気などなど
世の中には頭を悩ませることがこんなにもあるのですね。

その上天災があるというのに、なぜに人々は争ってるのか?
この一冊にはそういうメッセージでも含まれているのでしょうか?

不勉強なせいだと思いますが、20世紀の名作選と比較すると
「21世紀は、この人!」という代名詞的な作家が見あたらないのが寂しいですね。
作家が増えすぎたのか、天才が減ったのか
はたまた、日本における翻訳小説市場がぐっと狭まったのかはわかりませんが…
いずれにしても、傑作選という名の下に会した作家の作品集だけあって
侮れない一冊であることは間違いないと思います。

ひとことK-POPコーナー
今日(正しくは昨日)仕事から帰ったら宅配BOXにTOWER RECORDSからお届けものが…SHINeeの『Fire』でした
もちろん!旦那が寝静まってから見ましたとも!! いい気持ちで眠れそうです。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (エカテリーナ)
2013-03-15 17:37:16
社会問題もの、小説では読んだことはありませんが、少し前に萩尾望都さんの「残酷な神が支配する」を読みました。読んでいてつらいですね、こういうテーマの物語は…。先が気になってついつい読んじゃうんですけど、読後にちょっとぐったりしてしまいます
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こんばんわ (まりっぺ)
2013-03-17 01:47:43
エカテリーナさま、こんばんわ

この本で書かれている物語は家庭内の問題が大部分を占めているのですが、ほんとぉぉぉに憶測ですが、作者がこれは社会的に問題なんではないかと思ったことを書いているのではないかと思えました。

自分に置き換えてみると、確かに、国の存亡にかかわることより明日をどう生き抜くか、目の前の問題をどうするかという方が大問題ですものね?

私は読書は娯楽の一部だと思っていまして、小説から問題提起をされるのはあまり好みませんが、けっこう考えさせられる一冊でした。
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