まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『ティファニーで朝食を』素敵なお洋服もいいけれど…

2009-10-17 00:13:39 | アメリカの作家
BREAKFAST AT TIFFANY'S 
1958年 トルーマン・カポーティ

映画では、おっしゃれ~! な部分だけが一人歩きをしているようですが
決してそんなにスタイリッシュな物語じゃありません。
お衣装はたしかに素敵な気もしますが、それはおいといて…
考え無しな女のだらしない毎日を描いた、お子さんにはお薦めできない内容よ。

でも、なぜか優雅で美しいのです。
男に肩をかまれて逃げ込んで来るホリーも
下着姿同然で散らかった床からストッキングを拾うホリーも
14歳で40代の男やもめの後妻になった過去も
何も彼女を汚すことはできない感じは、まさにHolyです。
本当はHollyですけどね。

ホリーはとんでもない女です… でも自由な女です… でもああはなりたくない…
でもちょっとうらやましい… ただの遊び人で怠け者でしょ?… でも根は優しいの。

古今東西、手に負えないヒロインが出てくる物語は多いけれど
読者にほとんど不快感を与えないというのは…カポーティーは素晴らしい。

メンタルな問題だとか過去のトラウマなんてことを言い出すと
とってもめんどくさくなるからやめましょう。
彼女の幸運を祈りつつ、文章を楽しみましょうね。

この本には他に3篇の短篇が収められています。

『わが家は花ざかり』は、ハイチの娼館で売れっ子だった17歳のオティリーが
里山のロイヤルにひと目惚れして出て行ってしまうお話です。
そこには意地の悪い老婆がいて彼女をいびるのよ さてさて…

『ダイヤのギター』は、刑務所の古株で信頼厚い囚人シェファーさんが
新入りの若者ティコ・フェイと仲良くなって脱走をそそのかされる物語。
シェファーさんは乗り気じゃないんだけど、ティコはとてもしつこいんです。

『クリスマスの思い出』は短篇集『夜の樹』に収められていた『感謝祭のお客』と
登場人物が同じだと思われます。
もう… 泣けてきた こんなクリスマス、経験したかった。
カポーティ自身の思い出でしょうか? そうでしょうね?

前にも思ったのですが、カポーティは書く物語の内容によって
憑依されてているんじゃないかと思うほどに表情が違う気がします。
でもやはり彼独特のファンタジーが含まれているんですよねぇ。
暖かいか冷たいかは別にして。

ティファニーで朝食を 新潮社


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余談です
『Moon River』をカラオケで歌うのが好きなんです。
でも聞いてる人は『My Way』と同じぐらいウンザリしちゃうんだって。

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