まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『朝のコント』笑えるだけがコントじゃない

2009-06-05 01:05:33 | フランスの作家
CONTES DU MATIN 
1916年 シャルル・ルイ・フィリップ

原文で読んだらどうだか知りませんが、翻訳で読むと
フィリップとドーデとモーパッサンの短篇は三つ子のように似ている…
3人の短篇をシャッフルしたらどれが誰のものだか分からんかも
普仏戦争や狂気めいたものがないぐらいでモーパッサン短篇集とどこが違うのかいな?
19世紀末に好まれた内容なのかもしれませんね。

パリや田舎を舞台にした24篇の物語が収められています。

ドーデやモーパッサンにもこれだけは外せないという短篇があるのですが
この『朝のコント』の中にもしっかり私の大好物な作品が存在しました。

『チエンヌ』
99歳のチエンヌじいさんが朝起きて6階の部屋から階段をえっちらおっちら降り
河岸のアパート前の椅子に腰掛けて過ごす1日が描かれています。
60歳になる娘や門番のおかみ、近所の子供たちがチエンヌじいさんを見守ります。
100歳までは頑張ってほしいなぁ、と思いながら…

『フラナリー・オコナー全短篇』を読んでるんだけど
同じような境遇の老人を描いた『ゼラニウム』という物語と両極端で胸が熱い…
幸せな老後というのは「お年寄りに親切に!」と声高に叫ぶ世界ではなくて
普通に近所の人と関わる毎日が送れる世界があることなのかもね。
ぜひ、厚生労働省の方に読んでいただきたいです。

『ほどこし』
貧しい行商人のバルタザール爺さんに同情して品物を全部買ってあげたルロンドー老嬢ですが
ひさしぶりにまとまったお金を手にした爺さんはたらふく飲み食いしてしまい
贅沢を思い出させたルロンドーさんに怒りをぶつけます。

福祉とか慈善の難しさですね。
ずっと助けてあげられないならしない方がいい、というわけにもいかず…
誰もが施しなどなくても生きていければいいのでしょうが、正直に言っちゃえば
働き者が損をするというのもしゃくだしね。
これも厚生労働省の人に読んでいただきましょう。

『ぬけやすみ』
友達に誘われて午後の授業をずる休みしたものの、楽しかったのは1時間ほどでした。
退屈になって地理の暗誦をはじめ、裏庭から教室の授業を盗み聞きします。

この手の話は多いんだけど、学校に通えるってだけで幸せな時代ですから
後悔もひとしおでしょうね。
本当に学生時代に勉強しておけばよかったなぁ…って思いますよ。

身のまわりのなんでもないようなことを、他人が読むに耐えられる作品に仕上げるだけでも
尊敬に値すると思っています。
ノスタルジックな物語が好きじゃなければモーパッサンを読んどきゃこと足りると思うけど
私は好きなので「似てる!」と思いつつも楽しく読みました。

朝のコント 岩波書店


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2 コメント

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ルイ16世の・・・ (andy11102002)
2009-06-06 21:52:36
先日はどうもでした。
まだもらった昆布は食べてないので
ブログにアップしてませんが・・・・・
今日テレビ見てたら・・
こんなのやってて・・いかがかな?と
BSハイビジョンでした。
今日そいえばガーデニングのバジルでニョッキ作ったよ・・良かったら見てみて・・
朝のコント・・コメント
身のまわりのなんでもないようなことを、他人が読むに耐えられる作品に仕上げるだけでも
尊敬に値すると思っています。

このコメント好き

http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/p/20090613/001/10-2030.html
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ありがとうございます (まりっぺ)
2009-06-07 03:16:17
コメント気に入ってもらえて嬉しいです。

バジルのニョッキ見たよ。コメントも入れといた。
すくすく育ってるね、ハーブたち。

うちの花たちはなかなか咲かん・・・
きんれんかが咲いたんだけど、あんまり可愛くなかった。

私もサッカー見てました。
眠いので寝ますね~、おやすみなさい。

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