まりっぺのお気楽読書

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『ボズのスケッチ』可笑しくも哀しい上流への憧れ

2010-11-28 17:12:59 | イギリス・アイルランドの作家
SKETCHES BY BOZ 
チャールズ・ディケンズ

これぞ大衆娯楽小説!といえる短篇が上下巻で12話、面白いですよ。
デビュー当時に新聞・雑誌に掲載された短篇が収められています。

上巻は、上流ぶって暮らそう、少しでも上流にくい込もうと奮闘する人たちの悲喜劇、
下巻は、皮肉がきいた喜劇的な情景…をまとめた感じでしょうか?
どちらかといえば上巻が好きでした。

意地悪に作られた物語の中から、フフフと笑える3篇を紹介しますね。

『ボーディングハウス盛衰記(The Boarding House)/1834年』
妻に遺産が入ったのでボーディングハウス(下宿屋)を始めたチブス夫妻。
チブス夫人は高級下宿にしようとして、下宿人の人選に余念がありません。
その甲斐あって、紳士3人が暮らすことになりました。
続いて立派な未亡人とその娘たちもやってきます。

この物語は二話に分かれていて、ラストでチブス夫妻はけっこう痛い目にあいます。
これは、単に下宿屋の物語が好き! という理由で選びました。
本当に、将来下宿屋をやりたいと思うのよね。
昔の下宿屋の風刺小説はためになります、なんてね。

『ラムズゲートのタッグス一家(The Tuggses at Ramsgate)/1836年』
食料品店を営む堅実なタッグス一家に、長年争っていた遺産が入ります。
一家は店をやめ、金持ちたちが暮らす土地へ引っ越さなければと考えます。
ラムズゲートへ向かう船の上で、長男のサイモン改めシモンは
美しい大佐夫人のベリンダに、ひと目で魅了されてしまいました。

笑えるながらも少し哀しいお話し…所詮庶民は庶民なのね。
Simon という名は、上流社会ではCimon とフランス式に変わるんですってさ!
この一家、上流の仲間入りをしようと頑張ってますが
いかんせん身に付いた中流の振る舞いが邪魔をします。
シモンは若いだけにソツなくこなしていたんですけどね…恋の魔法には勝てず。

『蒸気船でテームズ下れば(The Stream Excrusion)/1834年』
誰が相手でも気に入られる術を持ち、遊びを仕切らせたら右に出る者がいないノアケスは
擁護者であるミセス・トーントンのリクエストで船遊びを計画します。
準備万端整えた川下りでしたが、トーントン母娘の天敵ブリッジス母娘も乗船していました。
ことごとく張り合う二組の母娘、どうやらトーントン母娘の方が分が悪いようです。

“ 取り入ること ” が仕事といってもおかしくない人は、前世紀の物語によく登場します。
脇役であることが多いんだけど、この物語では主役級。
それで生きていけるなら、それもまた人生…嫌われないよう頑張ってほしい。

上下巻ともに、ラスト一篇は笑いのない少し重苦しい物語が選ばれています。
『黒いヴェールの婦人』という、貧民街の死をテーマにしたものと
『大酒飲みの死』という、酒に魅入られた人の不幸を書いたものです。
私としてはそちらの方が好きなタイプの物語でした。

自分で新聞に寄稿していたというから、没になったものもあったんでしょうね?
次から次へと書くエネルギー、すごいです。
新聞に載せたい、読んでもらいたい!という情熱を感じさせます。
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