まりっぺのお気楽読書

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『天と地との間』マーラーの5番的な・・・

2010-05-01 00:42:53 | ドイツの作家
ZWISCHEN HIMMEL UND ERDE 
オット・ルートヴィヒ

それも第4楽章ね! 読んでいたらものすごく頭に浮かんできてしまいました。
でも内容の関連性はまったく無いと思います。

静かに始まって、静かに進むうちに少しずつ、少しずつ盛り上がりを見せて
盛り上がりきったと思ったら、デクレッシェンド…静かに終わる物語でした。

市の名士であるネッテンマイル親方は、一風変わった暮らしをしています。
緑の鎧扉がある大きな家には、親方の兄の未亡人と息子たちが暮らし
親方は不便な廊下部屋で起居しています。

しかし、この家を支え動かしているのは紛れも無く親方で
母子三人は実の父親のように、それ以上に親方を尊敬し崇拝しています。
四人は緑の鎧扉の家で30年もそんな生活を続けています。

ここで物語は30年前の回想になります。

登場人物は、若き日のネッテンマイル親方、アポローニウス。
実直で誠実でおくてなアポローニウスが静かに想いを寄せるのは
花のように可憐な娘クリスチァーネ。
弟アポローニウスのためにひと肌脱ごうと言ってくれる頼もしい兄フリッツ。

はしょるけど…
結局フリッツが一生懸命になっても、クリスチァーネは脈がないみたいなので
アポローニウスは遠くへ奉公に出たのだけど
その間にフリッツとクリスチァーネが結婚してしまうのね。
ここまではよくある話よ…

6年後、頑固な父親に言われて帰郷することになったアポローニウスは
クリスチァーネを兄の嫁として好きになろうと誓いました。

でも帰ってみると雰囲気が変です。
クリスチァーネはアポローニウスを避けているようだし
フリッツはなるべくふたりを会わせないようにしようと必死みたいです。

もうわかりますよね? その先は概ね想像通りに進みます。
あくまでも善人で謙虚で崇高なアポローニウスと
虚栄の塊で軽薄で悪意に満ちたフリッツという
あまりにも解り易い対比が潔くて、読むペースが上がっていきました。

クリスチァーネの娘が亡くなるシーン、老父とフリッツの息詰まるシーン
アポローニウスとフリッツの対決などなど、読みどころも満載です。

フリッツ亡き後、なぜアポローニウスとクリスチァーネが結婚しないで
義理の姉と弟として暮らしいるのか…という説明にあたる後半部分は
ちょっと疲れを感じましたが、最後に山場の嵐のシーンが描かれます。

隅から隅まで勧善懲悪で、敬虔さと正直さが善であるというお話でして
現代にはそぐわないかもしれませんが、とにかく、行ったことも無い場所の、
見たことも無い人々の,目くるめく情景が鮮明に浮かぶ文章でした。
読書はこうでなきゃ!と思えた一冊です。

実はこの作家は知りませんでした。
ありがとう!岩波文庫のリクエスト復刊

天と地との間  岩波書店


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