まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『大使たち』自己分析もほどほどに・・・

2009-08-23 01:37:06 | アメリカの作家
THE AMBASSADORS 
1903年 ヘンリー・ジェイムズ

ストーリーだけを見ると結構面白いので書いてみますね。

ニューサム夫人から息子をアメリカへ連れ帰るようにと依頼されたストレザーは
気難しい友人ウェイマーシとパリへやって来ます。

ニューサム夫人はウレットを代表する上流婦人、大企業創業者の未亡人で
ストレザーは彼女の恩恵を受けて編集長として雑誌を発行しています。
首尾よく息子を連れて帰れば夫人と結婚することになっています。

いよいよ悪名高かった息子チャドウィックに再会した時
ストレザーは彼のあまりの変わりように衝撃を受けました。
洗練され、趣味が良く、非の打ち所がない好男子になっていたからです、

ストレザーはチャドをこんなにも変えた女性の存在を知ります。
ヴィオネ伯爵夫人…ストレザーは彼女に会ううちに
“ チャドは彼女を置いてアメリカへ帰るべきではない ” と思うようになります。

しかしアメリカに帰ればこれから築く莫大な富と尊敬が手に入ると知ったチャドは
帰ってもいいようなことを言っています。

一方、ウェイマーシによって行状を報告されていたらしいストレザーは
とうとう見限られ、チャドの姉ポコック夫人がパリに乗り込んできます。

さあ、チャドはどうするんでしょうね?

とにかくストレザーと言う人は、自分でも言うように生真面目で、理詰めで
自分を分析し自分の言葉を分析し、さらに他人を分析し他人の言葉を分析し
自分と他人を非難し、自分を反省し、他人を賞賛し… そんなことに明け暮れて
しかもいちいち理屈がつくもんだから、話しが進まないったらない

彼がなんだかんだと考えながら会話する場面は、思慮深いという範疇を越えて
ただの会話ナルシストに思えてきます。

他の登場人物もインテリジェ~ンスでソフィスティケ~トな感じでの言葉を発し
やけに傍点多し、そして先回り発言多し。
その上「今は言えない」ことや「ご自分でご覧になった方がいい」ことが目白押し。

チャドがどうするか、ニューサム夫人に見放されたストレザーがどうなるのか
やけに知りたくて我慢して読みましたが、中盤以降は早く終わらないかしら?
と考えながらページを繰っていました。

さてストレザーですが、作中登場する女性陣に「好きにならずにいられない」とか
「鋭い目を持っている」とか「考えがご立派だ」などと褒め上げられていたけれど
想像を逞しくしすぎて、はたまた手を広げすぎて収拾がつかなくなったように思え…
彼が悩みに悩んでいる間に、まわりはどんどん先に進んでいたみたい。
ただのお人好しなんじゃないですかね?

長々とくねくねと書かれていた割には「あ、やっぱりそう?」という結末でした。

内容はさておき、進行している物語に隠された側面や裏腹を読み取る努力を
必要以上に要求された気がします。
頭の良い方には面白いのではないでしょうか?
私はもう、いっぱいいっぱいです

大使たち〈上〉岩波書店


このアイテムの詳細を見る

上巻でございます。興味があったら…

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イタリア王ウンベルト1世妃 ... | トップ | イタリア王ヴィットーリオ・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アメリカの作家」カテゴリの最新記事