


モリエール
これはねぇ~、読む人によっては怒るでしょうね。
表題の『女房学校(L'ECOLE DES FEMMES)/1662年』は
とにかく “ 女は馬鹿がいい ” というポリシーで
妻にしたい少女アニェスを(賢くならないよう)教育し
世間から隔離して育ててきた男性アルノルフの話しです。
せっかくお年頃になったのに、アニェスは世間知らずのあまり
恋してしまった男性オラースのことをアルヌルフにベラベラしゃべって聞かせる始末。
というわけで、アルヌルフは二人の仲を引き裂くために策を弄するのですが
果たして娘はおとなしく彼の妻におさまるのでしょうか?
最終的には主人公以外は丸くおさまり
めでたしめでたしで終わるはずだったのですが…そうはいかなかったようです。
当時、この女性を卑下したような内容に批判が続出したみたいですね。
いくら17世紀とはいえ、こんなにバカにされちゃたまらんぜ

という才知に富み志高い女性もたくさんいたでしょうからね。
そんな批判に答えるために書かれたのが『女房学校是非』です。
これはサロンに集まった5人の男女が『女房学校』に対する
賛否両論を繰り広げるという内容なんですが
いかんせんモリエール擁護派の方が理路整然としているような気がするのは私だけ?
もうひとつ『ヴェルサイユ即興』という戯曲が収載せれていますが
これは、当時人気だったモリエールの劇団に敵対するライヴァル劇団に
モリエールがイライラさせらている心情が表れている様子。
そこで気がついたのは、モリエールが劇団の座長だったということでしょうか。
“ 欽ちゃん劇団 ” ってことですか?
結局、喜劇を楽しんでもらおうと考えだした脚本だと思えば
このドタバタぶりも、勧善懲悪というか肩入れしたい人としたくない人の
明確な役どころも、予定調和的な幕引きも納得がいきます。
へたに教訓を得ようとか、人生の機微を味わおうなんて思って読んじゃ
いけなかったのかしら?
目の前で展開している 「…んなできすぎな! 」という部分を
堪能すればいいのだね!と思わされた1冊でした。
![]() | 女房学校 他2篇 岩波書店 このアイテムの詳細を見る |