まりっぺのお気楽読書

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『おばあさん』善人に幸多かれ!

2009-01-22 22:58:02 | その他の国の作家
BABICKA 
1855年 ボジェナ・ニェムツォヴァー

主人公の “ おばあさん ” がどんなに良い人かということが延々と書き綴られている物語。
これがけっこうしんみり面白いのです。

公爵夫人に仕える娘夫婦を手伝うために
チェコの山中からボヘミアにやってきたおばあさんと、孫たちや村人、
ご主人である公爵夫人とのふれあいがテーマです。
ほとんど悪い人が登場しないという、小説として成り立つのだろうか?と思わせる内容ながら
退屈することなく読み進めました。

ボヘミア地方の言い伝えや古い風習も盛り込まれ、四季の移り変わりや日々の行いが
みずみずしく描かれていますし、恋ややきもちなどもほどよくちりばめられて
決して道徳一辺倒ではないのですね。

おばあさんはたぶん100歳近くまで生きて静かな臨終をむかえるのですが
良い人たちは皆幸せになりましたとさ・・・という、ハッピーな内容。
確かに100年以上読み継がれた国民的な本なだけあります。

おばあさんは磯野フネさん的な女性で、優しいだけではなく
厳しいことや耳が痛いことも率直に言ってくれる、側に居たら頼りになりそうな人です。

物語の中ではキリスト教の祭りごとや、収穫祭とか結婚式とか
村人総出で祝うことが多々あって、なにかしら顔をあわせているんですから。
じい様やばあ様の知恵も役立つってものです。

公爵夫人がおばあさんのことを「幸せな人だこと」という場面が2回あって
そのうちの1回はおばあさんの葬送を見ていた時です。
こんな人生が送れたら本当に幸せでしょうが
人びとの繋がりが希薄になっている現代では難しいでしょうね・・・

しかし、こんな幸せな物語の中でも戦争が至る所に暗い影をおとしています。
兵役が14年ってあなた・・・青春だいなし。
チェコやハンガリー、ボヘミアなどは当時ハプスブルク家の勢力下にあり
いろいろな紛争に巻き込まれていたんですよね。

この物語の登場人物にはモデルがいたようです。
“ おばあさん ” は作家の祖母で、バルンカという年長の孫が作者だったようです。
巻末に実際はどうだったか書かれているのですが、これが・・・
人生って甘くないわね、と思わされ少し凹みます

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