2/15 午後1時より本堂で涅槃会(ねはんえ)を仏婦の例会を兼ねて行いました。
涅槃図を奉懸してお参りをして涅槃会のご法話させていただきました。
お釈迦様とその弟子阿難尊者(あなんそんじゃ)を中心にお話を進めました。涅槃図では阿難尊者は頭北面西右脇と臥せられ入
涅槃されたお釈迦様の宝台前に悲しみの余り悶絶して横たわっています。その顔に迦葉尊者(かしょうそんじゃ)でしょうか、水
をその顔に垂らして気付かそうとしている様子。
阿難尊者はお釈迦様の入涅槃の早いことを知り周章狼狽して「お釈迦様がおられなくなったらこの私は何を頼りに生きたらいい
のでしょうか?」と、真剣に尋ねる阿難尊者にお釈迦様は「自らを灯としなさい、法を灯とするのです。決して他のものをよりど
ころとしてはいけません」と、順々とお話になられました。
しかし、お釈迦様入涅槃されると阿難尊者はたまらなくなり気を失ってしまわれたのです。25年にもわたりお釈迦様の侍者を
つとめ片時も離れることなくお世話をし、お釈迦様の説法のみ座に常に近習していた阿難尊者の心中はさもあらんと伺えます。
この天空から来迎のように降りてくる婦人の一団は何を示しているのか余り考えたことがなかったのですが、この図はお釈迦様
の生母摩耶(まーや)様であると解説書にありました。摩耶様はお釈迦様が誕生されて7日目に亡くなられました。継母となられ
たのは摩耶様の実妹マハープラジャパテイと云う方でした。摩耶様は天界の忉利天(とうりてん)に住されていましたがお釈迦様
の入涅槃をアヌルダ尊者から知らされて忉利天からクシナガラの沙羅林に下って来られる図示が描かれていることに何とも云えな
い人の体温を感ぜずにはおれません。
比丘、比丘尼、在家信者も外護者の国王、そして菩薩や神々、禽獣にいたるまで一切が集まり名残つきぬ悲しみと偉大な指導者
の入涅槃を讃嘆する光景が描かれています。
過去、現在、未来にわたって一切が漏れることなく「さとり」に一如として包まれ抱かれてあることをこの涅槃図は示して下さ
ってあることを有難く思念いたすことしきりです。