万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

釣瓶の滑車(つるべのかっしゃ)

2012年02月18日 | Weblog
                        
                        ケヤキの滑車に青磁の獅子

 昔から拙寺の客間の脇床に置かれて来た置物に画像の青磁焼きの唐獅子があります。100年もその上も前からこの様なまま置かれてきたもののようです。青磁の唐獅子もいい造りと、好ましい青磁だと思っていますが銘も箱もありませんから作者も何時の時代のものかは判然としません。この置物については兎も角として、今ご紹介しようと思いますのは獅子が置かれています台についてです。
 私が生まれた時からこの獅子はこの台に置かれていましたからこの青磁の獅子の台として造られたものぐらいに思っていたのですが、ある時来山された数寄者の方がこの獅子の台を興味深そうに見つめられ、遂には台を手に取って眺めては唸られました。
 「この青磁の獅子も悪くはないですが、この台は面白いですねェ・・・・、これ、何だったかお分かりですか!、これは釣瓶の滑車なのですヨ、ケヤキ製の、」と云われてその台を愛おしそうに撫でられるのでした。私は「へェーっ!」と意外な指摘に驚きました。「釣瓶の滑車!」
 恐らく百年もそれ以上も使われて、使われて滑車の溝が深く擦り込まれてきたのでしょう。一体どこで使われていたのでしょう?一体誰がこのような獅子の置物台に転用するようにしたのでしょう? 全く不明のことなのですが、青磁の獅子の焼き物の台として相応しく脇床に堂々と座っている位相に驚きが重なりました。不思議な感性にただただ脱帽します。ケヤキ製の滑車ならば今でも簡単に作ることは可能です。しかし、釣瓶の綱によって彫り込まれているような滑車はもう出来ないでしょう。時の流れの意味することの重さを思わずにはおれません。
 
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