万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

水仙

2011年01月05日 | Weblog

 昨年のお正月には沢山の水仙が咲いていましたから仏花としてお供えもしたのでしたが・・・・

今年は蕾がどの株もまだ固いなァ、と見て回っていましたらヒョッコリ一株咲いて北風に吹かれ揺れていました大気が冷え切って

いる所為か花弁も澄み切っているように感じます。より楚々として香っています。

 水仙はその昔、中国から到来した花のようで中国名も水仙と云うのだそうです。彼岸花、玉すだれ、はまゆう、あまりりす、な

どと同じ「ひがんばな科」に属しています。

水仙の花ことばはよく知られていますように、うぬぼれとか自己愛、またエゴイズムを意味する花とされています。確かに孤高

で潔癖性の強い花であることは間違いないでしょう。生け花の花材として生ける時も水仙だけで生けるか、木物に添えるくらいが

安定感あるようで、他の草花と生けると競合して難しいように私は感じています。

 この水仙の花ことばはギリシャ神話の美少年ナルシス(ナルキッソスとも)に由来しています。ナルシスは少年時代に「自らを

知らなければ立派に成人するだろう」といわれましたが、ある時水面に映った自分の顔を見て美しいと恋心を持ってしまったので

す。ナルシスは自分自身に恋い焦がれて亡くなって行ったと云うのです。ナルシスの遺骸が埋められた所に「水仙」が芽吹き花が

咲きました。そのようなことで「水仙」の花ことばをうぬぼれ、自己愛などと云うようになったとエンサイクロペデアで知りまし

た。ナルシスト(自己陶酔者)やナルシズム(自己愛、自己陶酔)の言葉はナルシスがもとになっているようです。

 このような西洋の花伝説には関わりなく水仙の美しさは美しく日本では床のお花にも仏花としても生けられ、その美しさと香り

が愛でられて来たことはよく認識しておかなければなりません。この9日から京都の本願寺で厳修される親鸞聖人のご正忌報恩講

法要には何百本と云う水仙が梅や松に添えて生けられます。それはそれは豪壮な立花(りっか)なのです。

 
コメント
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