SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ミュンヘン」

2006年02月10日 | 映画(マ行)
 力作である。ただしハードなので見るのも体力がいる。
 一応見る方も主人公サイドに軸足は置くものの、どちらが善でどちらが悪という勧善懲悪の価値観で測れる作品ではないので、感情移入はしづらい。

 11人が殺された報復として相手方11人の暗殺を企てるところからすでに「血で血を洗う」様相を呈しており、報復には報復をの連鎖がどこまで続くのかと思わせる。それに加えて疑心暗鬼の中で主人公が精神的にも疲れ果てていくさまに、こちらもヘトヘトになる。
 中盤で情報提供者がフランス郊外に構える大家族の描写があり、ちょっと「ゴッドファーザー」を思わせるような血縁の暖かさがあって、全編の中でここだけ少し心が和む。
 
 ラストシーンに映る70年代のマンハッタン遠景は、観客の脳裏で一挙に9.11以降の現代まで飛び、いまだにその呪縛の中にいることを思い知らされる。

 シリアス路線のスピルバーグ・ファンは見るべきでしょう。


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