SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画「シルビアのいる街で」

2012年11月22日 | 映画(サ行)

 男が6年前に一度だけバーで会った女性の面影を求めて、再び町にやって来る、その人探しに付き合わされている趣だ。

 昼間はカフェのテーブルで集う女性たちの横顔をスケッチしながら、シルビアという女性の面影を探し求めている。

 ほとんど会話らしい会話はなく、見る者と見られる者の視線の交錯がひたすら描かれる。確信を持った女性の出現で、画面は動き出し、追う者と追われる者の関係に置き換わる。ほとんどストーカー行為でもあり、追いついたところでわずかな会話が用意されているものの、不発であったことが明らかになる。

 何も起こらない映画で、最後に衝撃の結末が用意されているかも知れないと期待はしたが、結局何も起こらない。

 だが、では、退屈な映画なのかといえば、そうではない。ハンサムな主人公が町中の美女に目を留めスケッチを繰り返していく、夢のような目の至福を実感することができる。

 都市の景観、窓ガラスへの映り込みなど、重層化された映像美の中に突如ホラーテイストが立ち上り、心が泡立つ瞬間がある。


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