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SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「サイドウェイズ」

2009年11月17日 | 映画(サ行)

 オリジナル版も見ているがまったく覚えていない。リメイク版=本作はアメリカを舞台にした日本人の映画になっているので、コミュニケーション・ギャップも一つの要素に取り込んでいる。

 颯爽とした女性たちに比べて、男の方は今ひとつ大人になりきれていない。それにしても、いい大人が・・・と見えてしまう。年齢設定はもう少し若い方が良かったのでは、とも思う。もっとも今日、精神年齢は実年齢の3割引というからそんなものか?

 現地の土地感がないので、いくつかの場面の相互の位置関係(距離感)が分からない恨みはある。が、ほのぼのしたコメディとして悪くは無い。もう少しワインのような豊潤さがあれば・・・、というのは欲張りか?

映画 「さまよう刃」

2009年11月11日 | 映画(サ行)

 東野圭吾原作の同名小説の映画化。少年犯罪に対する罰のあり方がテーマになっている。

 被害者の父親が一転、報復行為により殺人者として警察に終われる身となりながら、残る一人を追いかけるという三つ巴の追跡劇となる。

 犯人探しのミステリーではなく、犯人に報復しようとする父親の行動がどういう結末を迎えるかが描かれる。観客も「報復」と思い込んでいるが、追跡の過程で「究極の恐怖」こそが反省につながると考えるようになっていたことがわかる。

 警察はあのような形で犯人を射殺するものなのだろうか?手や足を撃てば良いのではないかと思うのだが。

映画 「重力ピエロ」

2009年10月01日 | 映画(サ行)

 伊坂幸太郎原作の同名小説の映画化で加瀬亮と岡田将生が主演。

 極めて高度なコミュニケーションが描かれる。発信する方も受信する方も相当に頭が良くなくては成り立たない。それに犯罪の味付けがあり、なぜそのような犯行が行われるのかというミステリー色が濃厚だ。

 しかしそこまで持って回ったやり方をしなくても、と一度思ってしまうとミステリーのためのミステリーの技巧が鼻に付くかも知れない。が、そう目くじらを立てずに素直に謎解きを楽しもう。これは兄弟愛、家族愛の物語なのだから。

 兄が泉水(いずみ)、弟が春、英語ならどちらも spring で、さらにハンサムな弟のストーカー女が春を追いかけるので夏子、といういかにも文学的な趣向だ。

 冒頭の加瀬亮のナレーションも原作の味わいを伝えていて物語世界に誘い込まれる。

映画 「宿命」 ~ ・・・というほどのスケール感はない。

2009年09月16日 | 映画(サ行)

 ソン・スンホンとクォン・サンウ主演の韓国映画。

 固い友情で結ばれた仲間が主義主張の対立から反目しあう・・・ことになるはずなのだが、そもそもどういう友情で結ばれていたのか説明がない。

 ラストに学生時代の屈託のない仲間同士の姿がわずかに映されるが、もう遅い。

 がっちり組まれた構成が必要なのに、金をめぐるヤクザの内輪モメのディテールばかりが描かれ、天下国家のスケール感があるわけでもない。殴る蹴るの暴力シーンと、ひたすら怒鳴りまくっている台詞ばかりが目立って、せっかくの役者の良さが生かされてこない。

 ドゥマンとドワンとか役名が似ているし、女優さんの顔が区別つかないとかで混戦模様の鑑賞となった。

 日本語で主題歌が流れていると思ったらGLAYの楽曲だった。

映画 「30デイズ・ナイト」

2009年09月02日 | 映画(サ行)

 白夜の半年後、逆に太陽が顔を出さない30日間の北極圏の町の出来事。

 町にいても仕方がないので、その間、一部の人を残して他の人は出稼ぎに行くのか、その辺の事情が詳しくはわからない。子供がいたら学校は冬休みなのだろうが。

 バンパイア系ホラーなのだが、彼らも元はといえば人間なので、そもそもなぜそうなったのか、町を壊滅させては次の町へ行くのか、夏の間はどうしているのか、とにかく何も説明がない。

 襲われた人間もまたバンパイアになるので、そうならないように襲ったら首を切れ、と襲う側のモンスターが言っている。どうも仲間を増やす気はないようだ。

 ジョシュ・ハートネットの主人公が挑む、ラストの犠牲的バトルがこれまでにない新機軸だし、冒頭の、深みのある絵のような映像も美しいのだが、長い物語の一部のみを見せられているようで、全体の状況が分からないもどかしさがある。

 もっとも、現実はその訳のわからない中で進行するのだが。

映画 「宇宙(そら)へ」

2009年08月25日 | 映画(サ行)

 50年に及ぶアメリカ宇宙開発の歴史を追うドキュメンタリー作品。初日、2日目は500円均一と言う異例の料金設定で鑑賞できた。

 宇宙という未開のフロンティアがどう開拓されていったかが良く分かる。不思議なのは月面着陸が何度も試みられ成功を収めているのに、それ以降月面開拓はまったく興味の範疇から外れてしまったかのように対象外となっていることだ。

 宇宙開発は旧ソ連とアメリカの先陣争いの場であったから、ソビエト陣営もライカ犬を搭乗させたり、「地球は青かった」「私はカモメ」など有名な言葉を残しているが、こちらは今回はまったく出てこない。あくまでアメリカの開発に限った話なのだ。宇宙開発の残りの半面が出てきて初めて、本当の意味での全貌は分かることとなる。

 開発は常に事故と隣り合わせだ。初めて民間から登用された高校教師の女性は9人の難関を突破し、「私の肉体に9人分の意志を乗せて飛び立つ」と涙ながらに喜びを語っていたが、発進時の事故で帰らぬ人となる。ここではむしろ選考からもれた人に幸運があったということか?

 昔の記録フィルムの編集部分は画調も粗いが、現代に近づくにつれ地球の素顔がクリアに捉えられ、地球の存在そのものが「宇宙の奇跡」であるという意味がクッキリと見えてくる。

映画 「セントアンナの奇跡」

2009年08月21日 | 映画(サ行)

 スパイク・リーの最新作で豊かな物語世界が堪能できる。

 いつものトンガリ感がなく、タヴィアーニ兄弟の作品を見ているような気になったのは、舞台が戦時中のイタリアだからだろうか?

 4人の黒人兵を主役に据えたあたりはまさにスパイク・リーだが、そのうちの一人が、故国を離れてはじめて、差別がなく一人の人間として扱ってもらえる皮肉を語っている。
 映画の語り口のマイルドさもその台詞と無縁ではないように思える。

 冒頭は現代アメリカの郵便局で、切手を買いに来た客の男性を黒人職員がいきなりま正面から射殺する。
 事件を担当するジョン・タトゥーロの刑事と駆け出しの新聞記者が登場し、彼らが軸に物語が展開すると思いきや、その次に、ある陽光溢れるカフェで良い身なりの男性のテーブルに事件を報道した新聞が天から降ってくるエピソードが入って、映画は一気に戦時中の話に飛ぶ。

 冒頭のエピソードはラストにつながり、事の成り行きが整理される。が、物語の大半は丁寧に綴られた過去のエピソードで、その不思議なファンタジーが混在する物語の魅力に完全にノックアウトされる。

映画 「そして、私たちは愛に帰る」

2009年07月24日 | 映画(サ行)

 ドイツとトルコ、3家族・親子6人の物語。

 部分的に誰かと誰かがつながっているが、全体はつながっていない。いつどのようにそれがつながっていくのかを観客は見守ることになる。

 3話構成それぞれのタイトルのうち2話は登場人物の死を示しており、行き着く運命があらかじめ知らされている。

 各エピソードは時間軸に沿って並んではおらず、エピソードごとに主役をずらしていく。したがって、同じエピソードが別の人物の視点から描かれるシーンがあり、登場人物が一つの世界でニアミスを繰り返していることが分かる。

 異郷・トルコの風景の中にドイツ人の母と娘がそれぞれに身を置くことになる運命が描かれ、人間が世界に関わって行く過程とはこういうことなのかと思わずにいられない。

 母親役は久々のハンナ・シグラだ。

映画 「スター・トレック」

2009年06月08日 | 映画(サ行)
 これまでTVシリーズがあり映画化もされてきており、熱心なトレッキーでなくてもそれらを実際に見ている。

 今回の作品について何の予備知識もなく見ると、まずこれまでの作品群との位置関係を理解する必要がある。

 冒頭の非常事態で命を落とす父とその息子が共にカークと名のるので、素晴らしい特撮に目を奪われてぼんやり見ていると、これまでのカーク船長の世代交代、その息子の話になったのかと錯覚する。

 しかし、エンタープライズ号が新型艦として就航する話なので、これまで見聞きしてきたカーク船長がいかにしてそうなったのかを時間を遡って描いている「ビギニング」ジャンルの作品であることが分かる。

 悪役をエリック・バナが演じているが、分厚いメイクながら、なるほど彼の目だ。しかし、彼の積もる怨みが引き起こすこの壮大な物語の発端は「単なる誤解」にすぎないのだ。

 タイムスリップの話が根底にあるのでタイムパラドックスをどう処理するかは、SF作品として大事なポイントなのだが、その辺はなにやら曖昧だ。カークは親子だが、スポックは同一人物である。考えるほど良く分からなくなってくる。

 理屈通りではないことも含めて「宇宙の神秘」なのか?

映画 「その土曜日、7時58分」

2009年05月29日 | 映画(サ行)

 シドニー・ルメット監督の新作。84歳とは思えぬパワフルな演出だ。

 運命がある一瞬を境に切り替わり、一つの家族が崩壊していく過程が描かれる。

 フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、アルバート・フィニーといずれもアカデミー賞受賞あるいはノミネーション級の役者が主役に顔を並べている。

 幼少期以来、弟に対するコンプレックスを抱きつづけている兄の、父親との葛藤が思わぬ形で噴出して、悲劇をさらに大きなものにしてしまう。