演劇界の鬼才、蜷川幸男の監督作品。
精力的に演劇作品を演出し続けながら、よく映画まで監督できるものだと感心してしまう。しかも感性的にはまったくの異界の物語、どこまで蜷川ワールドが肉薄していくかに興味をそそられた。
ボディピアスに刺青、の身体改造劇が逃げのない映像で痛々しく表現されるが、その先に本人たちの恍惚感があるのかどうか。ロマンポルノの巨匠が挑めば、多分その辺がうまく表現できたのではないかと思うのだが、観客として今回は引いてしまった。
基本的な骨格は三角関係だし、それに殺人事件が絡む。濃厚な人間の業に関わるドラマにもミステリーにもなりえただろうが、そうはなっていない。改造シーンのインパクトを除けばドラマとしてのメリハリは弱く、尺が長く感じられた。現代的な風俗にも取り組んでみましたという趣で、ギリシャ悲劇やシェークスピアをものにした蜷川流の読み替えはない。
小栗旬、藤原竜也、唐沢寿明ら蜷川組ゲスト出演の豪華さと、途中で何回か挿入される、望遠でとらえた列車の走行シーンがなんとも官能的だったのが印象に残った。
主役の3人、吉高由里子・高良健吾・ARATA は体を張った熱演だ。