最近思うこと

2013-05-18 10:23:02 | 私の愛読書

  事務所に届いた『いつでも元気』(全日本民医連発行)の6月号を眺めていたら、NPO法人福祉広場理事長の池添素さんの「大切なあなたへ」という文章に目が止まりました。池添さんといえば、息子が保育園に通っていた頃、仙台市で開催された全国保育合研で楽しい講演を聞いたことがあったので、懐かしい思い出が蘇りました。さて、そのなかの文章。「(ある小学校で4年生に『ともに生きる』というテーマで話をしているときのこと)みんなに『イキイキと生きられる世界はどんな世界ですか?』とたずねました。校長先生が聞いている前でしたが、即座に出てきたのは『宿題のない世界』『学校のない世界』。ほかの子どもたちからも「そうだそうだ」の大合唱」「子どもたちがいちばんイキイキと輝けるのは、学校と宿題がない世界だと教えてもらいました。にもかかわらず、子どもたちは毎日イヤな学校へ出かけ、宿題と格闘をしているとすれば、えらいものです」…。

 これを読んで、わが家も同じだったなあと思いました。息子が小学生のときは、「とにかく宿題がなければいい」「どうして宿題なんてあるの?」―この言葉を何十回聞かされたことでしょうか。息子が2年生のときの担任の先生に率直に聞いたことがあります。そのときの答えは「中学生になると毎日2時間勉強しないと学校の授業についていけない。それは、小学校の低学年の時から慣れておかないといきなりはできない。だから、最低でも、学年×10分の宿題の時間は必要なのです」というものでした。

 その息子もこの4月から中学生。宿題の多さには、時々悲鳴をあげながら、でも何とかこなしています。理解するというよりも、ノート何ページとにかく空白を埋める、理解するかどうかという以前にノルマを必死にこなしている感じです。こうやって、子どもたちを上司の言いなりに「従順に生きる」労働者にしようというのがいまの教育なのだなーとつくづく思います。息子には、学校の勉強は励ましつつも、「学校の勉強は学ぶことの一部。学校では教えてくれない大事なことがたくさんあるんだよ」といって、朝は朝食を食べながら、テレビのニュースを一緒に見て、アメリカの竜巻のこと、原発、朝鮮半島、エネルギーなど、いろいろおしゃべりをしています。

 

  いま、読み始めた本が『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著)。著者は、仙台市出身のNPO法人POSSEの代表です。この中に、ブラック企業の恐ろしい実態が記されています。

 超大手の優良企業といわれている衣料品販売X社、その新人研修は、「統一教会」もびっくりするような「洗脳」教育と言っても言い過ぎではないと思います。

「こうした研修の目的は何か。第三者の目から見ると、技術の向上や基本的な社会人としてのマナーを企図してはいないようだ。本当の目的は、従順さを要求したり、それを受け入れる者を選抜することにあるのではないか、と疑われる。それを裏付けるように研修では、怒鳴るなど、威圧する場面も多々あったというが、新卒が一番困惑し、精神を圧迫されるのは、言葉のきつさではなく、怒られる理由がわからないところにあった。Bさんがいうには『言葉がひどいっていうよりも沸点がよくわからなかったですね』。また、Aさんも『どういう方針でこの人はキレてるんだろうって疑問でした』という。Bさんは、『同期の人とか、この会社に入るとこういう感じで人が変わっていくんだって思いました』と話してくれた」

「はじめは違和感をもっていた新卒たちも、次第に『染まっていった』という。Aさん曰く『経営者に染まったほうが楽ですね。染まれない方がつらいと思う。私も染まって、講師が質問を言い終わった瞬間、みんな我先に“ハイッ”というようになっていました』」。

  随時紹介したいと思います。

 

 今日読み終わった本が、重松清さんの『十字架』。いじめで自殺した中学2年生、残された家族、遺書に「親友」とかかれていた主人公、自殺した生徒が好意を寄せていた女性生徒、「十字架」を背負わされた人々のその後を描いているですが、読んでいてとにかく「心が痛い」。現話を元にした小説だけに、ズシリと重いものを感じさせます。著者の重松さんは、構想に4年間をかけたというだけに、確かに読み応えがあります。私も、息子が生まれ、小学校に、そして中学校に入学し、それとともに、自分が忘れていた子ども時代を思い返すことが増えてきました。「息子と同じ年頃のとき、自分はどうだったろうかと」。そして、当時と今の時代の違いも。重松ワールドは、息子がいるからこそ、のめり込めるのだと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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