哲学(学問)は、真理に接近する喜び

2016-07-31 16:16:59 | 科学的社会主義

ドイツの哲学者ヘーゲルはこう言っている。

「哲学とは、人間の無数の有限な目的や意図から解放して、人間をそれらに対して無関心にする」。

難しい言葉だが、哲学は何に関心をもつかといえば、真理にのみ関心をもつ、ということ。だから、お金があるとかないとか、そんなことはどうでもよいことであり、いわば真理に接近する喜びを味わうのが哲学である、つまり哲学する以上の喜びはない、とヘーゲルは言いたいのだと思う。

ヘーゲルが活動していた1820年代までは、自然科学、社会科学、人文科学を全部総合して「哲学」と呼んでいた。その後、1830年代に、自然科学と社会科学などの実証科学は独立し、哲学は真理探究の方法論としてのみ、存在することになった。だから、ここでヘーゲルが「真理探究に接近する喜びを味わうのが哲学」といっているのは、「哲学」を「学問」と言い換えてもいいだろうと思う。

それはともあれ、あまりいろいろな日々の雑念に囚われすぎずに、また選挙結果や政局に一喜一憂せずに、常に真理を探究し、それを社会変革の実践に活かしていきたいと思う。まずは決意だけ。

 

 

 

 


あらためて「アベノミクス」とは何か②

2016-07-30 15:41:24 | 経済

7月29日、日銀は、金融政策決定会合を開き、追加金融緩和として、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れを現在の年3兆円から6兆円に増額することを決めた。9人の委員のうち2人が「株価を目標にしているという誤ったメッセージになる」と反対。しかし、「誤ったメッセージ」ではなく、「誤り」そのものではないか。生産や消費という実体経済の拡大を反映して景気がよくなり、株価が上がることは望ましいことだ。しかし、いまの株高は、実体経済とはまったくかけ離れている。本来、景気対策に責任のない日銀に、政権維持のために人為的な株高を演出させるため、いつまでこんな邪道な政策を強要するのか。

 さらに、29日は、年金積立金管理運営独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用実績、5兆3千億円の赤字になったことが明らかとなった。赤字は5年ぶり。公的年金の自主運用が始まった01年度以降では、過去3番目の赤字。内訳は、国内株3兆4千億円、外国株3兆2千億円の赤字。

 国民の老後の大事な財産である年金基金に大きな穴をあけた安倍政権の責任は重大だ。安倍政権は、株高を演出するために、GPIFの運用の基本となる「資産構成(ポートフォリオ)」を変更し、株式比率を24%から50%に倍増して、株式運用を拡大した。

 GPIFが国内株の投資比率を1%上げるだけで、単純計算で1兆4千億円の資金が株式市場に流れ込む。東京証券取引所一部の1日の売買代金は2兆~3兆円であり、影響は計り知れない。運用拡大で買った株の上位は、①トヨタ株②三菱UFJ・FG,③三井住友F・G。

 公的資金による株価つり上げは、市場を大きくゆがめる。一般投資家や企業の労働者は、株価の乱高下で苦しめられる一方、専門知識を持つ投機筋や銀行・証券会社は、巨額の利益を手にする。

 そのために、金融大国アメリカでさえも、公的年金積立金で株を買うことはしていない。世界の流れに反して年金積立金を株高の演出に使うという「禁じ手」に踏み出した安倍政権の責任は重い。国民の財産は、守らねばならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あらためて、「アベノミクス」とは何か①

2016-07-24 11:42:30 | 経済

 参院選挙中、安倍首相は街頭演説で「アベノミクスを全開に」「この道しかない」と絶叫した。憲法「改正」という真の狙いを隠すものだが、あらためて「アベノミクス」とは何なのか、まとめておきたい。

 「アベノミクス」は、「何本の矢」とかいわれるが、中心は、量的質的金融緩和政策といわれるものである。

 その狙いは、日銀を政権の支配下におき、超金融緩和政策を徹底させることでグローバルビジネスを展開する大企業と大手金融機関が最も活動しやすい国をつくることにある。

 「アベノミクス」は、政府の説明では、日銀が強力な金融緩和政策を断行し、大量のマネーを民間銀行に供給すれば、企業や家計への貸し出しがふえ、経済活動が活性化し、物価が上がり、景気回復と経済成長が達成できる、というものだった。

 しかし、この3年間、経済成長はマイナス成長に陥り、3年間の平均成長率は、最低の0.6%にすぎない。黒田日銀総裁が言っていた2%の物価上昇の目標も達成できず、先延ばしになっている。

 中央銀行と金融政策の目的は、物価の安定(物価の番人としての中央銀行)、信用秩序の維持(最後の貸し手としての中央銀行)である。景気対策や経済財政政策への責任はない。それは政府の責任である。しかし、安倍政権は、政権維持のため株高を演出するために、日銀という禁じ手を使い、日銀を最大限に利用している。

 超金融緩和政策は次の3つである。

①   「量的」金融緩和

 年間80兆円のペースでマネタリーベース(世の中に流通している現金と民間銀行が預金の払い戻しなどに備えて、日銀に預けている当座預金残高の合計、資金供給量ともいう)が増大するように、日銀が民間銀行から国債を買い取り(国債買いオペ)、その買い取り代金を民間銀行に供給する政策。民間銀行は、莫大な国債売買益を手に入れる。

 ②「質的」金融緩和

 日銀の供給する資金ルートを国債の買いオペだけでなく、株式市場に資金を供給し、日経平均株価をつりあげる株価連動型の上場投資信託(ETF),不動産投資信託(J-REIT)などについても、日銀の買い入れ対象に組み込んだこと。

③「マイナス金利」の導入

 民間銀行が日銀に預けている預金金利(日銀当座預金金利)に対して、マイナス0.1%の金利を適用。マイナス金利で、民間銀行が日銀から預金を引き出し、企業や家計への貸し出しに向かうというもくろみは実現せず。

 マイナス金利は、適用開始となる2016年2月でみると、民間銀行の日銀当座預金総額260兆円のうち、約10兆円だけに適用。民間銀行は、年間100億円の利子を日銀に支払う。民間銀行は、日銀がマイナス金利を導入すると、みずからの預金者に転嫁、普通預金金利を0.02%から0.001%に。他方、民間銀行は、実は、リーマンショック以来、日銀当座預金の基礎残高部分(210兆円)にプラス0.1%の利子を受け取っているので、民間銀行は日銀から年間2100億円を受け取っているのだ。だから、マイナス金利で年間100億円減っても、差し引き2000億円の利子収入を日銀から受け取り続けている。

 一方、国民は金利が引き下げられた結果、銀行に預けている800兆円の預金(定期・普通)に対し、利子所得が1600億円から80億円になんと1520億円も減らされた。この分が銀行の利益に移転することになる。

 「アベノミクス」の真の目的は、「2%の物価上昇」「経済成長」にあるのでなく、不況と低成長のもとでも、金融政策で大手の企業と富裕層に金融的な利益獲得のチャンスを与え、さらに富を蓄積することにあったのである。

 

「アベノミクス」の重要な特徴は、中央銀行を支配下に置き、前例のない超金融緩和政策で、政府自身が円安(輸出大企業の利益となる通貨の切り下げ)と官製バブル(バブルマネーの提供)を誘導したこと。その目的は、実体経済の成長が達成できなくなった時代にもかかわらず、なお資本の高収益を実現することにある。

 

 一通り生活必需品を手にする「成熟社会」に到達した現代日本経済は、戦後の高度経済成長時代の幕は閉じられ、かつて繁栄したヨーロッパ諸国がたどってきた歴史のように低成長の時代を迎えている。高度経済成長の結果、生活必需品のほとんどが家庭に備わる時代になると、高度経済成長を実現した時代の条件は消滅した。日本の経済成長は、1957~1973年が9.4%、1974~1990年が4.2%、1991年~2008年が1.2%。OECDも、今後の日本の経済成長を、年1%以下と予測している。安倍政権が声高に叫んだGDP600兆円など、達成できる条件は存在しない。

 近年の超金融緩和政策は、円安とバブルで、大企業と金融機関に、低成長のもとで、本来の営業利益が低迷する中で、為替相場や投資など金融ビジネスで、新たな利益を生み出すというものである。

 しかし、実体経済へのテコ入れなしに、金融政策だけで経済を立て直すことはできない。格差と貧困が拡大する一方である。しかし、株高を演出することで、アベノミクスへの「幻想」をふりまき、高支持率を維持して、憲法「改正」へむけた政権基盤を確立しようとする動きは危険である。アベノミクスは、選挙対策でもある。

しかし、「幻想」はいつまでも続かない。世界大恐慌やリーマンショックなど、バブルが崩壊した歴史は数え切れない。

実体経済を立て直す経済政策への転換がもとめられている。

 

 

 

 


激戦をふりかえって

2016-07-22 16:30:56 | 国政選挙

激戦の参院選挙から10日余り。選挙が終わった翌日に、私のパソコンが故障し、修理に出す羽目に…。そのため、ブログの更新が選挙後、初めてとなりました。

今日は、遅まきながら、参院選挙のまとめです。

7月10日は、午後11時過ぎに桜井事務所で当選確実が発表になり、緊張が解けて、大歓声があがりました。ちなみに、最初に当確を出したのは東日本放送。NHKは出口調査で、桜井さんの当選を確信していたようですが、仙台の開票を待っているうちに、東日本放送に先を越された形となりました。

共産党からは、代表して岩渕彩子さんが桜井さんに花束を贈呈。選挙勝利の功労者の一人でもある岩渕さんと桜井さんががっちり握手しました。今度の選挙は、選挙区で野党共闘で勝利することと比例で共産党そのものを伸ばすことが目標でした。若いいわぶち彩子さんにとっては、選挙区候補から比例への転身という、気持ち的にも論戦の面でも非常に難しい候補者活動だったと思います。ご本人には大変なご苦労をおかけしましたが、よく頑張って、みんなの期待に応えてくれました。

 

 

よく7月11日には、比例で当選した岩渕友さんが朝仙台に来て、街頭から勝利の報告と今後の決意を語りました。

以下、今度の参院選の得票と各マスコミの報道です。

 

宮城県では、共産党は、2000年代で最高の比例票となりました。

桜井充さんは、県内39行政区のうち、24の行政区で自民党候補を上回りました。仙台市でも、農村部でも、自民党候補に差をつけました。

桜井さんの勝利は、「野党共闘の勝利と各マスコミは報道しています。

 

首長9条の会の副会長で、元宮城県町村会会長の鹿野文永さん。地元では、勝手連として、大奮闘されました。本当に、お世話になりました。

参院選挙の結果は、改憲勢力が参院の3分の2を占めるという大変危険な状況となっています。しかし、東北で活動してきた私たちの実感は、自民党に「野党共闘で勝った」というものですから、全国の結果と、受け止め方は異なります。宮城県の自民党の県議や仙台市議の中からは「官邸、県連が総がかりでやって敗北した。惨敗だ」「徒労感だけが残る」といった嘆きの声が聞こえてきます。選挙中、安倍晋三首相が2回も宮城県に入り、県選出の国会議員に「宮城で自民党候補を勝たせたら、大臣にしてやる」といったそうです。それでも勝てなかった。安倍政権は、東北の審判を真摯に受け止めるべきです。

今後、憲法改悪阻止がたたかいの最大のテーマになります。それだけに、野党共闘で勝利した宮城県の教訓をぜひ全国にも広げたい。

 

 

 

 

 

 

 


参議院選挙は、明日が投票日

2016-07-09 23:30:15 | 国政選挙

激烈なたたかいとなった参議院選挙は、いよいよ明日が投票日です。想像を絶する自民党陣営の物量作戦に対し、野党と市民の共同するたたかいがくりひろげられました。

憲法9条の改憲がかかった選挙です。

宮城選挙区は、桜井充。

比例代表は、日本共産党にご投票ください。