「愛着アプローチ」で、人は変われる 「愛着障害の克服」(岡田尊司著)

2016-11-26 16:23:22 | 私の愛読書

子どもの不登校・引きこもりに直面したことがきっかけで、カウンセラーの方の支援も得ながら、この1年半、家族へのかかわり方を勉強してきました。その甲斐もあって、全体として、家族が安定する方向にすすんでいます。うれしいことです。そのなかで、私がいちばん学んだことは、「愛着障害」についてです。私が精神科医の岡田先生の『愛着障害』をはじめとした諸著作を読み始めたのは、カウンセラーの方からこの本を紹介されたことからでした。勉強になりました。

 

さて、その岡田尊司さんの著書「愛着障害の克服」が先週、出版されました。いま、出勤途中、夜などに読み進めています。

一言でいうと、若者の支援活動にかかわる人、身近に心の病を抱えた方がいる人には、ぜひ読んでほしい文献だと思います。民青同盟などの青年運動を支える共産党や民主団体の関係者にも読んでほしいと思います。

日本共産党の大会決定でも「青年の二重の苦しみ」(24大会決定)といい、学費奨学金、労働の厳しさなどとともに、自己責任論など、若者の心に苦しみに寄り添うことが提起されてきました。私も、ある時期までは、政府・財界などが流布する「自己責任論」に若者の苦しみの大本があると考えていました。もちろん、それは一つの側面としては正しいと考えます。しかし、それは外因的な一つの要素です。それだけでいまの若者の心の苦しみを説明しきれるのか、疑問を感じていました。

 

私は、子どもの不登校をとおして、また日頃の仕事を通じても、同じ悩みを抱えた若者が(引きこもりにはなっていない場合でも)、実に大勢いることがわかりました。しかし、その根本原因とメカニズムは、これまで理論的には説明されてきませんでした。(少なくとも私の理解する範囲では)。懸命に不登校や引きこもりの支援をしている方々の間でも、なぜこうした症状が現れるのか、その原因は究明されておらず、試行錯誤であるようです。特に、学校との接触がもてない完全不登校の子どもさんには、多くのスクールカウンセラーのみなさんもお手上げという状況です。

しかし、岡田先生が提唱した「愛着障害」という概念は、こうした若者の心の苦しみを理解するその核心、キーワードだということをこの著書で学んでいます。

 

幼い頃に親との間で安定した愛着を築けないことで起こる愛着障害は、子どものときだけでなく大人になった後も、心身の不調や対人関係の困難、生きづらさとなってその人を苦しめ続けます。この本では、愛着研究の第一人者であり、ベストセラー『愛着障害』で愛着への理解と認知を国民的レベルに高めた著者が、愛着障害に苦しむ人やその家族、支援者に、臨床の最前線から、回復のための最強メソッドと実践の極意を紹介しています。薬も認知行動療法も治せなかったさまざまな問題(慢性うつ、不安、依存症、摂食障害、自傷、発達障害、不登校、引きこもり…)が、なぜ愛着に注目し、愛着を安定化することで改善へと向かうのか、医療のパラダイムを根底から変える一冊です。

若者の運動を支援するという私たちにとっても、重要な観点が学べるのではないでしょうか。ちょっとオーバーな表現ですが、若者や子どもたちへの視点が変わる「コペルニクス的転換」の著書、マルクスが発見した「剰余価値学説」にも匹敵するような(少なくてもこの分野では)「人間科学の書」と私は呼びたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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