NHKが連日、意欲的な番組を放映しています

2017-08-13 19:42:44 | メディア

 8月15日の終戦記念日を前に、NHKが連日、実に意欲的な番組を放映しています。

一つは、昨夜12日夜NHKBSプレミアムで放映された「スペシャルドラマ 返還交渉人」。1960年代に沖縄返還交渉を指揮、「返してもらうのではなく、取り戻す」を信念に取り組んだ外務省北米局課長の千葉一夫氏の実話。以前に読んだ孫崎享さんの著書「戦後史の正体」の中にも、千葉課長のことは出てきます。今の外務省では想像もできませんが、当時の外務省には、米国と正面から渡り合おうという気概を持った外交官が存在していました。

交渉時、沖縄はベトナム戦争の米軍の出撃拠点で核兵器も存在しました。沖縄をこれまで通り使いたい、「核密約も必要だ」という、米国との交渉は厳しい。しかし当時、外務省は、「核抜き本土並み」返還を目指します。背景には、沖縄の核兵器も米軍基地も撤去して沖縄返還を求める沖縄県民の不屈のたたかいがありました。こうした県民のたたかいも交えて、返還交渉が描かれています。

政府の官僚の中にも、これだけ気骨のある人がいたことに感動をおぼえます。

 

 

 

もう一つは、これも昨日12日夜のNHKスペシャル「本土空襲・全記録」です。これも、米国に保管されている当時のフィルムを分析し、米軍の日本本土空襲の全貌を明らかにした貴重な番組です。B29戦闘爆撃機にカメラを内蔵し、空爆や機銃掃射の様子を克明に記録するということに戦慄をも覚えますが。

当初、米軍は、日本の軍事工場などを攻撃目標にしますが、高度1万メートルからの爆撃では、命中率が低い。そのために、悪名高きカーチスルメイが陣頭指揮をとり、民間人を含む無差別爆撃に方針を転換します。その理由は、日本国民は全員が軍事活動に組織されているので、日本に民間人はいない、非戦闘員はいないというものです。攻撃目標は、工場だけでなく、鉄道、学校など、地上で動く人間すべてが標的となります。日本が連合国にポツダム宣言の受諾を通告した後にも、B29の空襲は続き、多くの民間人が殺されます。1年余の空襲で死亡した人は、45万9千人にものぼります。

戦争は、一度開始されると、どこまでもエスカレートし、やめることができなくなります。

今日の北朝鮮をめぐる事態も、絶対に軍事衝突は避けなければなりません。

  これだけの番組を企画・制作したNHKの気骨ある職員のみなさんに敬意を表したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


安倍政権のメディア支配

2016-08-20 12:25:05 | メディア

参議院選挙では、メディアによる選挙報道の質量の後退に大きな批判が噴出しています。実際に、3年前の参院選に比べて、選挙報道の時間は全体で3割減、内容も当たり障りのないものが多数。自民党の主張を鵜呑みに、アベノミクスが争点といいながら、選挙が終わると「改憲派が3分の2」と。自民党による争点そらしに便乗した姿勢が目立ちました。

自民党はマスコミ対策のチームをつくり、すべての選挙番組を録画し、1秒でも2秒でも同党の候補者の出演時間が少ないとすぐにテレビ局に抗議の電話を入れてくる。内容にもクレームをつけてくるとマスコミ関係者はぼやいています。

一方で、テレビCMには、政党助成金や企業献金から湯水のようにつぎ込んで、毎日、「これでもか」という具合に流し続けました。

全国32の1人区で野党共闘が成立しながらも、それが選挙戦全体の流れになり切れなかったのは、マスコミの取り上げ方に問題の一端があったとの指摘もあります。同感です。

現場の良心的なマスコミ労働者を励まし、自民党のマスメディア支配に負けない国民的な運動が必要です。