今年をふりかえり、新しい年を展望して、新聞も読みながら、いろいろな思いをめぐらせています。
まずは、新年号の「しんぶん赤旗」日曜版で、志位委員長と対談している品川正治さんの発言に注目。
「いま、いわれている国際競争力は、『企業の国際競争力』です。しかし、労働者一人当たりの国際競争力というのなら、全部、正社員にせざるを得なくなります。本当の意味で、国際競争力が必要なのは、労働者の働きがいだと思います。それが世界一だったら、企業自身も世界一になれるはずです」「私は、経済と物欲とは全然違う概念だと思うんです。共産党でよくいわれる『ルールある資本主義』の基本にある考え方は、利益だけが経済じゃない、経済人なら経済人らしくやってくれということでしょう。ところがいまは、経済人イコール利益追求者という考えが横行しているのが実態です」
経済とは何か、本当の国際競争力とは何か、働くことの誇り、企業の誇り…哲学ともいえる底をついた議論が
必要だと思います。
次は、全国商工新聞の新年号で国分稔会長と対談する齋藤貴男さんの発言に注目。
「独立して商売することを許さない、どこかに雇われる以外の生き方が認められない社会は異常です。大企業が世の中の主役であり、それに従うのが当たり前などという皮相な発想ばかりがまかり通る時代に、いいかげんにピリオドを打ちたい。中小零細の額に汗して働く労働の尊さはもちろん、多様な価値観や生き方を認め合い、共存・共栄を図っていく。そういう時代をつくっていかなくてはいけないと思うのです」
消費税の10%への増税は、独立して商売をするという生き方の否定、大企業の価値観だけが残る社会への変容であるという齋藤氏の主張には、共感し、考えさせられるものがあります。
同じく商工新聞新年号の「経済展望」の友寄英隆氏の主張より。
「何事も状況を変えるのは、一人ひとりの頑張り、個々の企業の努力から始まります。昨年のNHKの大河ドラマ『龍馬伝』では、明治維新を成功に導いた薩長同盟や大政奉還の大事業も、最初は青年龍馬の発意と頑張りからはじまったことを描いていました…」
情勢の新しい展望とともに、それを可能性から現実に変えるには、従来にない発想の転換がどの分野にも求められます。それは、誰かが指示してくれるわけではありません。自分の頭で考え、自分たちの実践の中から、創り出す以外にはありません。いま、全国的な運動になっている「住宅リフォーム助成制度」も最初は、民商のある地域のとりくみが出発点だったと思います。とりわけ、若い世代の運動は、無限の可能性があるだけに、創造性を発揮できる実に楽しいとりくみです。科学的社会主義の運動は、固定した教条ではありませんし、「若い世代は、高齢の世代とは違ったやり方で、社会主義に接近する」と述べたリーダーもいました。いま、社会主義が問題になっているわけではありませんが、この着眼点は重要です。誰かの指示を待つのでなく、発想豊かに、それだけに貪欲に勉強する。それとともに、経験主義に陥らないように基礎勉学を怠らない。
同時に、党の専従といえども、自己犠牲ではなく、大いに人生を楽しむ。自分の人生を楽しめないで、どうして人々が人生を楽しめる社会を実現できるのでしょうか。
こんなことに思いをめぐらすこの年末です。