マルクスと友達になろう

2016-02-28 19:31:43 | 科学的社会主義

昨日は、民青の学習合宿に講師として参加し、不破さんの「マルクスと友達になろう」をテキストに科学的社会主義の話をしてきました。時間が限られているので、哲学と経済学だけでしたが、参加者のみなさんは、熱心に話を聞いてくれ、活発な討論をしていました。

あらためて、テキストを読んでいろいろ考えながら準備をしましたが、資本主義社会は搾取の仕組みが見えないために、自己責任論が浸透しやすい社会であることを確認しました。資本主義では、搾取の現場から次の時代の担い手が誕生すると不破さんは解説していますが、搾取の仕組みをはじめ、資本主義社会の構図を勉強することなしに、次代の担い手は自動的には生まれないことも現実です。自然発生的に声をあげはじめた若者をどう育てるかは、私たちの運動の切実なテーマです。

討論の中で、いま学校現場で、自分の頭で考えるのではなく、ただ教師のいうことを、素直に何の疑問ももたずに聞くだけの、従順な子どもたちを育てようという圧力がものすごく強まっていることが出されました。そのことは軽視できません。同時に、戦争か平和かという激動の情勢を反映し、そういう教育をうけてきた学生であっても、社会への見方が変化・発展していることも事実です。この間の10代20代の若い世代の運動の広がりがそのことを実証しています。情勢はまさに攻めぎあいです。情勢を一面的にではなく、「対立物の統一」として全面的にとらえることを肝に銘じて活動したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


安倍政権と「恐怖社会」

2016-02-22 13:52:42 | 社会運動

 最近、ある学者の論文で知ったことですが、いまの日本社会の壊れ方を示すデータとして、独立行政法人情報処理推進機構の「情報セキュリティの倫理に対する意識調査」(2014年)が紹介されています。

 その調査では、スマホやパソコンから悪意のある投稿をした経験のある人が、およそ4人に1人にのぼっています。さらに、投稿の結果、どんなことを感じたのかという問いに、「気がすんだ、すっとした」31.9%、「何も感じない」27.6%で、「やらなければよかった」13.6%の2倍以上になっています。ネット上では、匿名をいいことに、本当に見るに堪えない投稿が目立ちますが、社会の荒み、人間と人間の関係がどんどん壊れていることを痛感します。

 この論文では、安倍政権が「1億総活躍社会」といっていることの欺瞞性とこれが恐怖政治になっていることを指摘します。

 「1億総活躍社会」といって、介護離職ゼロ、待機児童解消、最適賃金1000円とはいっても、実際の政策はまったく逆になっているわけですから、漠然とした期待感を醸し出す選挙対策、支持率対策という側面が強いと思います。アベノミクスの失敗を覆い隠す面があることは軽視できないと思います。

 さて問題は、政府が一応貧困対策とはいっても、貧困を根絶するための政策をとるのではなく、「貧困になるとこんなに大変なのだ」ということを見せることが大きな特徴になっています。

 貧困の状態が世間にさらされる、社会にあることが明らかになることで、人々をそうならないように何とかしようという不安と恐怖に駆り立てるーここに安倍政権の特徴があります。

 貧困をはじめさまざまな困難が、人々を「自分はそうならないようにしなければならない」という心理に追い込む「さらし台」となっています。貧困でも何でも、そうならないためには「自分や家族の努力で頑張らないといけない」と個人のレベルに置き換えられます。力を合わせて社会を変える方向でなく、何とかしてそのなかで生き延びるために頑張らないといけないという心理に追い込まれる。これが「恐怖政治」「恐怖社会」です。

 いま「下流老人」という言葉ができています。「老後のためには、退職時に2千万円の退職金では足りない、3千万円以上必要だ」ということがNHKでも言われています。でも、退職金を2千万円以上もらえる仕事がこの国に一体どれだけあるのでしょうか。非正規の現役労働者がこの言葉を聞いて、何と思うのでしょうか。こうやって、「何としても有名な学校に」「名だたる大企業に」と若い人々が追い込まれていきます。

 これは、貧困の問題だけではありません。昨年、川崎市で中学生がいじめで殺された痛ましい事件、加害者の家族だけでなく、被害者の母親もネットで攻撃されています。被害にあっても「お前の落ち度だろう」と。自分にちょっとでも「弱み」や「落ち度」「スキ」があると攻撃される。「恐怖社会」になり始めています。

 個人の困難の多くは、社会と政治に起因するものです。そうは見えない個人の資質に見えるものでも、育ってきた環境によることが少なくありません。個人の落ち度を個人の責任のみに転化しないで、社会全体で考えていける、こんな優しい国をつくらないとけいけません。

そのためにも、まずは安倍政治を倒すことです。

 


結局は、財政の話に行き着くか

2016-02-21 14:21:43 | 経済

 昨夜は、事務所の宿直ということで、何気なくNHKを見ていたら、Nスぺで超少子化についてスタジオ討論をやっていました。少子化を克服したフランス、人口6千人の岡山県奈義町が財政を切り詰めながら、子育て世代への手厚い経済的な支援を行い、特殊出生率を2.81まで伸ばしたことが紹介されていました。これらの実例からも、お金がすべてではないけれども、経済的な支援を充実させることが、結婚・出産・子育てを応援する現実的な力になることははっきりしていると思います。

 問題は財源です。元大蔵省に勤めていた方は、こうした提言に対し「この財政が危機的なときにまったく非現実的だ」「国民的なコンセンサスが得られない」と切り捨てていました。まったく、腹立たしい限りです。つまり、どんなに子育て支援の経済的な要求があっても、「財政が危機的だ」という殺し文句を使えば、我慢を強いられる。希望でなく絶望を強要する発言ですが、財務省も全く同じ理屈です。でも、この1000兆円近い借金を作ったのは誰?。90年代にアメリカとの日米構造協議で430兆円、のちに630兆円もの血税を公共事業につぎ込むことで約束し、日本中に飛行機の飛ばない空港、船の来ない港、車の通らない高速道を作り続けた日本の財界と自民党政府、そして大蔵省・財務省の責任でしょう。その見返りに、企業献金、口利き、天下りで、国民の知らないところで、甘い汁をすすってきた人たちでしょう。

しかも、国民向けには「財政危機だ」と言いながら、大企業の法人税はさらに引き下げ、様々な大企業優遇税制を作り出す。無駄な政党助成金制度もやめない。

冷静に考えれば、GDPでみれば、日本国民はフランスよりもはるかに多くの富を生み出しています。問題は分配です。将来の日本の姿よりも目の前の株価のことしか眼中にない財界の圧力を排して、国民の生み出した富を社会保障政策を通じて公平に分配することが必要です。政府や経済界、御用学者は、300兆円を超える内部留保を生み出し、超格差社会を作ってきた日本社会の実態を国民の目から隠し、国民に絶望を押しつけています。確かに、政府や財界のやり方は複雑、巧妙です。私たちも、よく研究し、経済・金融・財政のあり方を説得力を持って、みなさんに伝える努力をしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


国民の生命と安全など眼中にない日本の「戦犯」政治

2016-02-09 15:02:31 | 科学的社会主義

 昨日と今朝の「しんぶん赤旗」で不破哲三さん、山口富男さん、石川康宏さんの鼎談「スターリン秘史 巨悪の成立と展開 第5巻を語る」が掲載されています。

私も、雑誌に不破さんの論文が掲載されていたとき、ここの部分は読んでいましたが、驚愕の事実です。

 いまの安倍政権も、日本人が将来、戦争で命を落とそうがどうなろうが関係ないという姿勢で戦争法を強行しました。そのDNAは、まさに戦時中の「戦犯」政治家の流れを受け継いでいるとしか思えません。

 戦時中の日本の軍部。政治家は、戦争末期、世界の動きにまったく無知なまま、ソ連を介して米英と降伏交渉をすすめようとしました。

その降伏条件では、何と日本の「固有の領土」から沖縄と小笠原、北千島を除外しています。みずから、沖縄を切り捨てる提案を行った。さらには、日本は人口密度が高く経済的に困るといって、外地にいる日本人をできるだけ、日本に帰国させないように依頼をしました。

 ソ連は戦後60万人の日本人、元関東軍兵士をシベリアに抑留しました。これは、ポツダム宣言違反ということで、国際犯罪ともいうべきものです。しかし、ソ連も最初は、日本軍捕虜はソ連領には運ばないという指示を出していました(1945年8月16日)。ところが、8月24日に、スターリンから「シベリアに送れ」という指示が出された。その間、何があったのか。実は、日本の大本営からソ連に派遣された参謀(朝枝繁春)が、ソ連軍に「現地にいる日本人は、ソ連軍の庇護のもと満州・朝鮮に土着させて生活させてほしい」と要請していたとのことです。これは、戦争指導部がソ連に仲介を頼もうとしたときに決めた「現地土着」「賠償としての労力の提供に同意する」という方針にそったものです。

 これは、棄民以外の何物でもありません。

 いまの安倍政権を見ていても、国民の生の痛み、苦しみを理解しようとする姿勢がみられません。私たちも、日本の歴代支配層に脈々と流れ続ける「棄民政治」をいささかも甘くみることなく、「個人の尊厳」を大事にする政府に変えていくよう、がんばりたいと思います。

 

 

 


若い世代に広がる将来不安

2016-02-07 15:51:06 | 若い世代へ

 先ほどまで、民青同盟の会議に参加して、若いみなさんと議論をしてきました。そこで、認識を新たにしたことは、若い世代に将来への大きな不安が広がっていることです。18歳選挙権にかかわって、NHKの18、19歳への意識調査を紹介し、そのなかでは、雇用・労働環境への不安とともに、医療・介護・年金など自分の老後への不安をいだいていることを紹介しました。そのことが議論になりました。正社員になれるかどうかもわからない、大学卒業後数百万円の借金を抱えて、これ以上ローンも組めない、子どもも大学に進学させられない、もし病気になって仕事をやめざるをえなくなったらどうなるのか、年金はもらえるのかなど、医療や年金の問題は、決して高齢者だけの関心ではないことがよくわかりました。世界第3位の経済大国で、将来の年金などの心配をしないといけないとはこの国は絶対におかしい。300兆円をこえる内部留保をため込んでいる巨大企業に応分の負担をしてもらうこと、巨額の軍事予算を見直すことなど、歳入歳出の見直しで、社会保障の充実は絶対にできます。個人の努力は限界です。絶望でなく、社会の構造的な矛盾をしっかりととらえて、老いも若きも力をあわせることを呼びかけたいと思います。