ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

タイのアイドル演歌歌手、クリームちゃん

2010-04-23 00:30:25 | アジア

 ”NANG SAO KHON MAI”by CREAM PIMWALAI

 なんかさっぱり冬が開けなくて、弱ったものです。暖かくなるかと思えば翌日には急に冷え込んで、ビショビショ冷たい雨が降ってみたり。なんでしょうね、このところの気候は。うんざりします。
 こんな気分の時は爽やかな歌声が聴きたいですね。そんなわけで。
 タイの演歌とも称される民俗歌謡ルークトゥンの新しい歌い手、クリーム・ピムワライ(と読むのかな?)ちゃんであります。これは昨年出た、彼女のデビュー盤のようです。
 ジャケ写真を見ても若い、というのを通り越して幼い印象のクリームちゃんですが、このアルバムのレコーディング時、まだ15歳だったと言う話を聴いたこともあります。アイドル・ポップの世界ではよくあることかも知れないけど、このような民俗歌謡の世界ではかなり珍しいんではないでしょうか。

 いや、それにしても切ないと言うか”萌え~”と言う奴でありますなあ。夏の高原を覆う朝霧のように清純な歌声を素直に響かせて、ジャケ写真そのままの田園の素朴な少女の世界を描いてくれます。淡い青春の感傷など、そっと吹き抜けて行きます。
 これは彼女の若さを考慮に入れたんでしょうね、あまりコテコテな民俗調ではなく、曲調もアレンジもいうなればフォーク調の趣を強くしたものにしている。この辺も爽やかさを演出してくれて、良いですな。
 それに、じっくり聴いてみると、確かに幼い声ながらも要所要所にピリッと効いたコブシを響かせるなど、なかなか実力派の手ごたえもあります。故郷の田舎の喉自慢大会とかを荒らしまわり、それがレコード会社の目にとまり、なんてのがクリームちゃんのデビュー秘話なのかも知れません。

 多くの場合、こういう良さってほんのひと時で、ふと気が付けば彼女もケバい化粧でオトナの「唄を歌っているのかも。まあ、それが猥雑なる現実ってものですから。
 でもレコード会社の関係者諸氏におかれましては、”清楚な民俗派”というクリームちゃんの独特の持ち味をなるべく大事にして、この路線で売って言っていただけますように・・・と、遠い日本からあてのない祈りでも捧げておきましょうか。

 あーそれにしてもクサクサしますね、この天気には。せめて雨がやんでくれればなあ。