久しぶりに、ムシェロビチの本を読みました。
シリーズ第十一番目の作品で、邦訳出版の六作品目だそうです。
私が前回読んだムシェロビチ作品は『嘘つき娘』だったので、
その19年後の続きを、ここで楽しむことができました。
タイトルになっているロブロィエクは、嘘つき娘の「アニュラ」と
同じ印刷学校へ通っていたボーイフレンドの「ロブロィエク」なんです。
登場人物も、かつてみた名前がぞくぞく出てきます‥といっても、正直言って
簡単には思い出せず‥でも、ガブリシャだけは例外で、なんかとても
懐かしい感じがしました。
物語は、1996年7月12日‥ロブロィエクの娘のベラが、ポズナンに
やってきた日から始まり、同じ年の9月2日‥学校の始業式の朝、で
終わります。
ムシェロビチ作品、読み始めの頃手こずっていたのが嘘のように、
もうすんなりと最初から話に入っていかれました。
今回の物語で、とても印象的だったのは、ポズナンの夏を彩る花の数々。
特に、バラの描写がふんだんで、ページから匂い立ってくるよう、と思っていたら、
物語の後半から終盤で、すっごく効果的にバラが使われていました。
ムシェロビチ作品はどれも、登場人物がとても魅力的で‥
とくに女の子がしっかりしている気がするのですが、今回のロブロィエクの娘の
ベラも、とても頼もしく、しっかりとした、いい女の子だなーと思いました。
料理だって、家の内装だって、アルバイトだって、やると決めたら
どんどんやってしまうんです。しかも、とってもとうさん思い。
淡い恋物語も進行中で、続きの話があればいいなあと、今からとても
楽しみにしています。
やっぱりおもしろですね~この「イエジッツェ物語」シリーズ。
順番に邦訳出版されていないし、全部図書館で借りて読んでいるので
もやもやした部分もあるのですが、それでも時々読むと、いい頭の体操にも
なる気がしています。
最後に、残しておきたかった文章を。
「誰かに助けてもらったら、その分を必ず別の人に返すことだね」
ベラのアルバイト先の女性が、新米アルバイトのベラに投げかけた言葉です。