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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

1996年夏・ポズナン・バラの匂い

2012-11-05 17:00:30 | 好きな本

久しぶりに、ムシェロビチの本を読みました。
シリーズ第十一番目の作品で、邦訳出版の六作品目だそうです。



私が前回読んだムシェロビチ作品は『嘘つき娘』だったので、
その19年後の続きを、ここで楽しむことができました。

タイトルになっているロブロィエクは、嘘つき娘の「アニュラ」と
同じ印刷学校へ通っていたボーイフレンドの「ロブロィエク」なんです。

登場人物も、かつてみた名前がぞくぞく出てきます‥といっても、正直言って
簡単には思い出せず‥でも、ガブリシャだけは例外で、なんかとても
懐かしい感じがしました。

物語は、1996年7月12日‥ロブロィエクの娘のベラが、ポズナンに
やってきた日から始まり、同じ年の9月2日‥学校の始業式の朝、で
終わります。

ムシェロビチ作品、読み始めの頃手こずっていたのが嘘のように、
もうすんなりと最初から話に入っていかれました。
今回の物語で、とても印象的だったのは、ポズナンの夏を彩る花の数々。
特に、バラの描写がふんだんで、ページから匂い立ってくるよう、と思っていたら、
物語の後半から終盤で、すっごく効果的にバラが使われていました。

ムシェロビチ作品はどれも、登場人物がとても魅力的で‥
とくに女の子がしっかりしている気がするのですが、今回のロブロィエクの娘の
ベラも、とても頼もしく、しっかりとした、いい女の子だなーと思いました。
料理だって、家の内装だって、アルバイトだって、やると決めたら
どんどんやってしまうんです。しかも、とってもとうさん思い。

淡い恋物語も進行中で、続きの話があればいいなあと、今からとても
楽しみにしています。


やっぱりおもしろですね~この「イエジッツェ物語」シリーズ。
順番に邦訳出版されていないし、全部図書館で借りて読んでいるので
もやもやした部分もあるのですが、それでも時々読むと、いい頭の体操にも
なる気がしています。

最後に、残しておきたかった文章を。

「誰かに助けてもらったら、その分を必ず別の人に返すことだね」

ベラのアルバイト先の女性が、新米アルバイトのベラに投げかけた言葉です。




コメント (9)
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