my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

何度でも

2011-03-09 14:40:28 | 好きな本

こももさんのブログで知って、そのあと、ぱせりさんのレビューを読んで、
もうそれだけで、涙ぐんでいたのに、図書館に探しに行きました。
泣いてしまうことがわかっていて読みたいなんて、もしかして〇ゾ?って
思いながら‥笑。



図書館の本棚で手に取るまで、童話屋さんの詩集だということを
忘れていました。
なので、この大きさ(文庫本サイズのハードカバー)、というか、
小ささがとても新鮮に思えました。

中を開いてみると、ひとつの短歌が1ページに、行にわけて載っています。
これは、一首一首を一篇の詩として、ときほぐすように味わいたいという
編者の田中和雄さんのアイデア
 だそうです。

とても良いです、このアイデア。

もちろん万智さんの歌が元々よいのですが、綴られている一首を読むのと
ある歌は3行に、また別の歌は4行、あるいは5行になっているのを読むのとでは
感じ方が明らかに違ってきます。

ひとつひとつの言葉がよりくっきりと、心に届くようなんです。

    私からうまれ
   私に似ているが
   私ではない
   私のむすこ


妊娠したとわかったときから、出産を経て、我が子の成長を共に味わいながら
万智さんの頭の中には、心から溢れたきた言葉がいつもいつもあったのでしょうね。
子育てを経験をした人ならだれもが抱いた想いを、こんな短い言葉に凝縮させて
しまうのですものね‥。

     夜泣きするおまえを抱けば
    私しかいないんだよと
    月に言われる



泣かないぞと思いながら読んでもそれは無駄な抵抗で、じゃあ、何も考えずに
さらっと読んでみよう、さらっと、と思っても、いつしか気持ちは入りこんでいて。


         子を抱き
    初めてバスに乗り込めば
    初めてバスに
    我が乗るごとし




でも。

熱くぼっーとした瞼を押さえながら、ふと気がつきました。

誰もが抱いたことがある気持ちだけど、それをちょっと離れたとことから見ている
作者の視線があるということに。

だから尚更、気持ちが動いてしまうのでしょうね。ただの感想や思い出ではなくて
ひとつひとつが完成された作品であるから。


何度読んでも そのたびに
新しい涙がわいてくる 

不思議です。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする